クラッチ交換記
「え~、クランクケース左側のクラッチケーブルが繋がってるのがプッシュレバーで……ケース上部にある線がマーキングで……」って、 全然ズレてんじゃん! エンジン左側のクラッチプッシュレバー このライン と この出っ張り が合ってないといけないんですが 厳密に合っている必要はないのだが、それにしても「こんなにかよ!」と 驚くほどにズレている マーキング。 ということは、中のプッシュロッドの調整もズレているはずだ。
なるほど、確かにマーキングが指定位置にくるよう調整すれば、 ケーブルにもかなりの余裕 が生まれそう。 「そうか、クラッチ交換前にまずは確認が必要だな…」
それではと作業にとりかかる。 クラッチ内部の確認の為、 クラッチケースを取り外す のだ。
ブレーキペダルは マスタ側とフレームのネジ 、それに スプリング2本 を外します
必要ないかもしれないが、念の為 ステップも取り外す 。 初めての作業の時、周囲がきれいになっているに越した事はないのだ。
さて、それでは クラッチケースを開ける としよう。
ところで、セローのケースカバーを留めているネジは、なんと 全てプラスネジ である。 う~ん、見るからにナメそうだよな… #コストの関係だから仕方ないか
大きいサイズのプラスネジの場合、Tレンチかインパクトドライバーを使うのが俺のお約束である。 インパクトレンチといっても、もちろんまずは 普通のドライバーのように使う のだ。「インパクト」として使うのはそれでも緩まなかった時だけである。
幸いな事に、プラスネジはそれほど固く締まっていなかった。 「インパクト」しなければならなかったのは1箇所のみ。V魔同様この場所の 締め付けトルクはさほどではない ようだ。
さて、ネジが全て外れたとはいえ、 ガスケットで固まったケース を外すのは結構面倒な作業になる。
ケース内側に何箇所かある「爪」に 当て木をして、反対側からコンコン と叩く。 慌てて傷つけると大変だから気長にやるとしよう。
外れたクラッチケースは、内側、 下の方に汚れ がある。 茶色い汚れはオイルが焼けたのか、それともこの前の砂の影響だろうか? とりあえずCRC-556を吹きかけ、ウエスで拭いて綺麗にしてやる。
なんですかねぇ? この辺りの汚れ は
なるほど、プレッシャプレートの中央に ナットとプラスネジ がある。
「おお、こりゃ凄い。これなら 遊び調整は問題なし だな」
手にとって見ると、 両プレートとも妙にざらざら している。 これもやはり先の砂だろうか?それともフリクションプレートの削りカスだろうか?
特にクラッチプレートの汚れはひどい。 錆ではないが、 カス様のものが茶色く付着 しているのだ。
本によれば、 使用限界は2.8mm (新品は3.1~2.9mm) 今の厚さは・・・うう、ぎりぎり2.8mmか。やはり これは交換 するとしよう。
クラッチボスは、 イ ンナーアウターとも段付きは感じられず 。 クラッチの「切れ」は良かっただけに、これは予想通りという感じ。
一通り納得したら、一旦全てを元へと戻す。 交換作業はパーツを注文してからだ。 #毎度の事だけど、ガレージがあるとこういう中断ができていいよなぁ・・・
後日、 フリクションプレート6枚(2種:5枚+1枚)とガスケット が届いたら作業再開。
汚れていたクラッチプレートを新品にするかどうか最後まで悩んだが、 今回は磨いて再使用 することにする。 「ま、これでダメならもう一度開けて交換してやればいいさ・・・」 #自分でやるとこういうのも気楽
新品フリクションプレートは、使う前にまず オイル漬け 。 焼き付き防止のためには必須の作業である。
たっぷり浸した後に取り付ける。 表裏や合わせマークの指定はないが、一応 刻印のある側を内側に統一 して組んでみる。
クラッチプレートは、なにはともあれ 汚れ落とし 。 CRC556でも落ちない汚れは紙やすりで。 あまり磨いて厚みが減ると逆効果なのでほどほどにっと。
こちらのプレートもたっぷりオイルに漬けてから組んでやる。 丸みのある面をエンジン側 、というのはV-Maxと同様だ。
ちなみにセローファイルには 「クラッチプレートの突起が重ならないように組む」 とあったが、なぜかうちのクラッチにこの 突起は見当たらなかった 。
フリクションプレートの 3枚目は、ちょい巾の狭い特殊なプレート 。 同位置に 「スプリング・クラッチボス」 という波打った輪をセットしてやる(再使用)。
6枚目のフリクションプレートを組んだらプレッシャプレートをセット。 4本のネジ&スプリングは 対角線的に締め込んでいく… というのはこの手のボルトのお約束だ。 #指定トルクが0.6kgと小さいのでオーバートルクに注意
あらためて、プレッシャプレートの中央ナットとネジで プッシュロッドの位置調整 を行う。
クラッチレバーを握り、確認しながらの作業。 もちろん次回以降の為に、クラッチレバーとケーブル中央の調整部分には あらかじめ余裕 を作っておく。 #今まではまったく余裕なし
新品 ガスケットにもたっぷりとオイル を塗ってからセットする。 こうすることで密閉度は下がるが 再使用しやすくなる のだ。 #なんとなくまた開ける気がするので(笑) ##もちろんこれは自己責任。
昨夜、ちまちまと 古いガスケットを剥がしておいた クラッチケースを装着。 ゴムハンマーでコンコン叩いてあわせていく。
そういえばこのプラスネジ。 長さが何種類 もあって実にわかりにくい。 外した時に位置をチェックしておくのはもちろん、 仮留めしたときに長さを再確認 する必要があるだろう。
ボルト余り無し を指差し確認、控えめにエンジン始動。 250単気筒&純正マフラーだとご近所に遠慮しなくていいのがありがたい。
クラッチレバー位置微調整。 ブレーキペダル、ステップ取り付け。 ついでにブレーキランプスイッチ調整。 おまけにエアフィルター新品交換
■ 慣らし運転・・・のはずが?
もう一度 「オイル漏れなし」 を確認してから出発する。
クラッチの慣らしなので 急加速は厳禁 だ。もちろん半クラッチもできるだけ減らす。 それでも、クラッチの繋がる位置が自分の好みになったのですこぶる走りやすい。
10kmほど走って小休止。 やれやれとヘルメットを脱ぎバイクを降り・・・ 「あひゃっ!」
エンジン下にぽつりぽつりと落ちるのは紛れもない オイル 。 しかも走行中チェーンを伝ったらしく、リアタイヤのトレッド面にまで付いている! 「うわっ!オイル漏れだっ!」
だが、昨夜作業した クラッチケースの合わせ面は実に綺麗 だった。 取り付けしたままの状態でオイル漏れの気配はない。
今オイルが垂れているのは エンジン左側 。(チェーンも左) 右側のケースから漏れたオイルが(サイドスタンドを立てているので)左側へ回ったと思っていたのだが違うのだろうか?
時折停まってウエスでオイルを拭く。 サーキットでなら確実に黒旗(オレンジボール)というか、強制退去させられる状況だ。 「未舗装部分を選んで走っているとはいえ、道路汚してごめんねぇ・・・」
漏れている場所はやはりわからない。だがやはり クラッチ側ではない ようだ
車体を垂直にしてレベル窓を・・・「うわっ! なんでこんなに入ってる んだよ!」
慌てて「ドレンボルト半開け」でオイルを抜く。 レベル窓が通常になるまでに抜いた量は驚く無かれ 200cc以上 。これまで漏れた分を含めると相当な量が入っていたはずだ。
ともあれ、俺の作業が原因だったのは間違いない。 自分への罰として 今日の朝飯は抜き とする。
気持ち、先程より エンジンの回りが軽い 気がする。 そりゃまぁオイルの抵抗が減ればエンジンもよく回るよな。
10kmほど走って小休止。 やれやれとヘルメットを脱ぎバイクを降り・・・ 「あひゃっ!」 (再)
エンジン下にぽつりぽつりと落ちるのは紛れもない オイル (再) 「うわっ!オイル漏れだっ!」 (再)
もう一度自宅へと戻り、 左側のスプロケットカバー を外す。
ドライブスプロケの内側。シャフトの周りのオイルシールが びろんと見事に外側に飛び出して いた。 これでは走る(ドライブスプロケが回る)毎にオイルが漏れるのは仕方がない。
素人考えだが、 「オイル量多い」→「ケース内圧力上昇」→「オイルシール飛び出る」 のコンボだったのではないだろうか。
また「押し込めた」ということは、今後 「また出てくる」 ということも考えられる。 早めに交換してやる必要があるだろう。 ※交換手順も調べておかないとな・・・
ともあれ、俺の作業が原因だったのは間違いない。 (再) 自分への罰として 今日の昼飯も抜き とする。
トータル200kmほどのテスト&慣らし走行。 後半で5,6速での全開走行も試してみたが滑りは皆無。 どうやらメインの クラッチ交換自体は無問題 だったようだ。
いや、それにしても、自分で作業してバイクが直るというのはもちろん楽しい事だけど、 トラブルの原因を自分で究明できた っていうのもなかなか嬉しいものだねぇ。