大河ドラマ「太平記」1話「父と子」を見る
主人公足利尊氏は真田広之。当然のことながらかなり若い。 30 年前の作品だけに出演している俳優・女優が一巡していて中には物故されている人も少なくないので今から見るとかなり新鮮に感じられる。 当時の番宣ポスターでは武者装束で床几に座った真田広之を中心に左右に宮沢りえと後藤久美子がたったものがあるが、宮沢りえは白拍子藤夜叉役、後藤久美子は後半南朝側の北畠顕家という美少年役で登場する。当時の目玉だったのだろう。
あらすじ 源氏の棟梁と幕府・北条家の支配体制ドラマは霜月騒動後も続く北条による残党狩りの中で訴追を受けた吉見一族のさらにその一族であった塩屋氏一族郎党が女子供も連れ足利荘に難を逃れようと救けを求めてきたところからはじまる。 屋敷にいた尊氏の父、足利貞氏(緒形拳)は、源氏の棟梁と見込んで助けを求めた彼らを見過ごせず塩屋一族を屋敷内に匿う。 すぐさま屋敷を北条方の追手が囲み、屋敷内には「戦うべし!」という声があがる。 「今の足利家には北条と戦う力はございません・・」軽挙を諌める筆頭家老格の執事高師氏。 「ならば、いつになったら我らは北条と戦える?・・無念とは思わぬか」 貞氏は、塩屋一族を門の外、北条方の兵が満ちた中に送り出すように命じる。 塩屋一族は我らの最期を見届けて欲しいと言い残し、女子供も含め門外に打って出る。 門は閉じられ殺戮がおこる。
ドラマ冒頭からかなりシリアスなシーン、武将同士が戦う合戦ではなく幼子もいる女子供を含む人々が殺されるというショッキングな場面だ。この後も足利貞氏は足利家当主として幕府・北条氏に陰に陽に警戒され続け、それごとに耐え忍んでいくのだがこの事件は足利家がおかれた立場を印象づけるシーンとなった
源頼朝にはじまる源氏将軍家の血が絶え、幕府の実権は執権であった北条家が握ったのは有名な話だが、実はその北条家自体も、「内管領」と呼ばれた筆頭家老格の家により実権を握られていたという二重三重の構造にあった。長崎円喜は前内管領にあたり、現在の執権北条高時の内管領には円喜の子長崎高資(西岡徳馬)が就任していた。実態として北条家ひいては鎌倉幕府の実権はこの長崎父子に握られていたという。
幕府を牛耳る当代一の実力者、狡猾で抜け目のない人物をフランキー堺が好演している。顔は笑っていても目は全然わらってなく、するどくすわっているという演技はなかなかに難しいと思う。 これに対してじっと耐え忍ぶ貞氏を演じる緒形拳が応える。口数は多くはなくうちに秘めた思いも含めて表す演技もまた見どころ。
足利貞氏の正妻は、なにかしらの理由があって貞氏とは不仲で実家?に帰っている様子が伺えるが、このドラマ内ではこれ以上は語られない。どうもこの後も登場しない模様だ。この場面の際に実兄である金沢貞顕もしょうがないといったことを言うだけでそれ以上のセリフはなかったように思う。 足利尊氏・直義兄弟は側室の上杉清子との子であり、正妻(名前は伝わっていないしドラマ内でも登場しない)とは長子である足利高義がいる。足利高義は尊氏より8つ年上だが、20のときに早逝している。ただこの時点は7、8歳であったと思われるが、ドラマ内では足利高義自体が登場しない。
金沢貞顕は北条家の一族に連なる人物で、この後も足利家縁戚として足利家を助けるように動く人物。この時は”連署”と呼ばれる役職にあり、幕府の中では”執権”につぎNO.2の地位にある偉い人。だが、後の回では貞顕を連署にしたのは長崎円喜で円喜のやることには口出しできないと告白するシーンがある。後に幕府内の権力抗争の中で10日間だけ執権の地位につくことになったという。ウィキには次のような人物だったと評され、そのままに児玉清が演じている。
優秀な人物ではあったが、革新的な思考や武断的な手腕には乏しく、気配り・調整によって政権を維持する人物であった。成熟期に入った組織の運営をすることの難しさを知る者であれば、「おまえの苦労はよくわかる」と共感のもてる史料が多い
高氏の少年時代花夜叉一座、藤夜叉、また一色右馬介は原作にも登場する架空のキャラクターだが、”石”はさらにドラマオリジナルキャラクター。 一色右馬介はこの後、足利高氏の従僕として常に高氏に付き従い活動していくことになる。ただこれを大地康雄があっているかというと少々イメージが違うように思う。大地康雄をあてることでユーモラスな雰囲気を出そうとしていたのかもしれないがいまひとつしっくりこない印象。
幕府への出仕と犬合わせでの恥辱元服した高氏は幕府に出仕するようになっていた。ある日、執権北条高時(片岡鶴太郎)が主催する犬合わせ(闘犬)の会が催される。後の回のセリフにあるが、高時は、争い事が嫌い、政務も嫌いで、難しい議は全て長崎円喜と母御前に任せ、 自分は田楽(踊り)と犬が大好きと公言する ような人物。次々と催される闘犬に手を打ち歓声をあげながらも高時は会場の周囲に座る御家人やその子弟をねめまわす中で、退屈そうにあくびをした高氏の姿を見つける。自分の好きなものを侮辱したように感じたのか、高時は細い目でにらみつけながら、甲高い声で命じる「あれはたれぞ?」「足利殿の御曹司でございます」「あやつに横綱をひかせよ」
この片岡鶴太郎の北条高時は怪演といってよいかもしれない。小狡そうな小さな目で見回し、甲高い声で命ずる様子は独特の雰囲気を醸している。
「兄者!」と呼びかける高嶋政伸が直弟直義を好演。 醸し出す雰囲気、口数が少ない兄と対比的に声が大きく周囲を巻き込むおおらかな弟役を演じている(歴史上の役割では逆の性格のようにも見えなくもないが)。 この後、この二人のコンビが討幕に乗り出しさらには朝廷との戦いと突き進む様子が早く見たい。ただその先の悲劇もまた・・
感想 全編45分のうち、主人公足利高氏の登場シーンはわずかラスト3分… 丹波篠村で決起した足利軍は踵を返し京都の六波羅を攻める。六… 後醍醐先帝が隠岐島を脱出した事は各所に伝わり動揺を与える。… NHK大河ドラマ「太平記」第18話「帝の脱出」:後醍醐先帝が配流… NHK大河ドラマ「太平記」13話。 後醍醐帝が籠もった笠置山の山… 最終更新: 2026-03-17 08:30- 18世紀以前 (48)
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