血漿交換療法 Part2 ― 処理量の計算 ―
置換液量の計算の前に、ターゲット物質の除去率について先に触れておきます。一応確認で、当然といえば当然なのですが、 循環血漿量(以下、PV:plasma volume)と同等量(=等倍)を置換すれば全ての血漿を入れ換えられるわけではありません。 何故ならば、1分間に15〜30[mL]ずつ常に捨てては補充してを繰り返しているため、患者の血漿と新しい血漿は混ざり合っているためです。もちろん、患者の血漿全て抜き出して、同等量の置換液を補充すれば除去率100[%]です。
PV × 0.8 → 50 [%]PV × 1.0 → 60 [%]PV × 1.2 → 70 [%]PV × 1.5 → 80 [%]
上記の通り、 循環血漿量と同等量の処理量では60[%]程度の除去率 となります。倍率の選択は患者の病態、重症度から決めます。それでは置換液別に説明します。
アルブミン置換 置換液量は?基本的にはPV×1.0〜1.2 であり、 PV×1.2で治療をすることが多いです。 重症症例ではPV×1.5にすることはあります。 しかし、除去率としては1回当たり70[%]で充分効果が得られると感じています。
アルブミン置換で治療するにあたって気をつけなければならないことがあります。それは 凝固因子が補充されない ため、 大量置換や頻回治療をすると出血傾向となります。 それ故にFFP置換より少なめの処理量となります。
アルブミン置換をする前日や当時治療前の凝固系採血をオーダーしてもらい、 フィブリノゲン(FIb) の値が100[mg/dL]以下である時は延期にしていただいてます。
治療間隔は? 経験的なノウハウは?あとは経験的なところになるのですが、PV×1.2でおおよそ処理量は2500前後になると思われます。 アルブミン置換で3500[mL]を超えてくると、凝固因子の損失の観点から処理量を抑えようかなと考慮します。 例えば、PV×1.5でオーダーされ、処理量が4500[mL]と算出された際に、4000[mL](PV×1.33)などへ下げさせてもらうこともあります。これは 出血傾向など安全性を考慮したものです。 もちろん、どうしてもPV×1.5でお願いしますと押されれば医師指示の責任の下、オーダー通り治療を行います。
また、 アルブミン置換では組成的にはNa+濃度が生体正常値よりやや低い ので、 置換液が多いほど治療中の血圧低下が起こりやすいので注意が必要です。
FFP置換 置換液量は?基本的にはPV×1.2〜1.5 であり、 PV×1.5で治療をすることが多いように思えます。 というのも、アルブミン置換をする患者より、圧倒的に重症度が高いことが多いことと、 Na + は クエン酸Na を添加されている影響もあり、 Na + 負荷となるので、 その面では血圧の低下は生じにくいです。 ただし、 アレルギー反応などの副作用はそれなりの頻度で発生し、血中Ca濃度の管理も必要です。
治療間隔は?アルブミン置換の際はフィブリノゲン値を気にする必要がありましたが、 FFPでは治療間隔を特に気にする必要がありません。 むしろ、 連日実施することは多いです。
また、劇症肝炎など常にFFP投与を必要とするような症例ではPV×1.5〜2.0で毎日のようにPEをします。なんなら、PE単独よりPE + on-line HDFまたはPE + CHDFの並列の方がbetterでしょうか。
さいごに
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- 血漿交換療法 Part3 ― PE置換液の組成設定 ―
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コメント一覧 (3件) Kazuo より:Moegiさん初めまして。 いつも楽しく読ませていただいています。 処理量について ビリルビン吸着では、どのように判断されていますか? PEに比べエビデンスが少ないように思います。 工夫されていること等ありましたらご教示いただけると幸いです。 よろしくお願いいたします。
Moegi より:ご質問いただきありがとうございます。 処理量をお話しする前に、ビリルビン吸着は基本的には実施してませんね。仰っる通りエビデンスといいますか、実施が少ないと考えます。 ビリルビン吸着の依頼が来ても、神経障害を来していない場合は実施を見送っていただいています。そもそも劇症肝炎や肝不全ではPE+on-line HDF(or CHF, CHDF)の選択/提案になるかと思います。 では本題の処理量ですが、私としては滅多に使用しないプラソーバを含めPMXなどDHPはできるだけ回すという考えを持っています。 アフェレシス学会の出すガイドラインでは3000-5000[mL]となっていますが、私なら4000[mL]または5000[mL]にします。 古いデータですが、4000[mL]くらいから吸着率は落ちていると思われます(吸着率20-25%へ低下)。 ガイドラインの注釈には「7000[mL]でも吸着能力はある」となっていますし、アルブミン等は吸着されませんので、できるだけ処理するというのが私の考えですね。