著名人インタビュー この人に聞きたい!野口聡一さん[宇宙飛行士]
【野口】あとは、理工系に進んだ人が、給与面や生活待遇面であまり評価されていないので、理工系を増やしたければその職業を評価するように社会を変える必要がありますね。資源のない日本が科学技術で国を支えていこうとするのであれば、科学技術を学んだ人をもっと厚遇すべきだと思います。そうでなければ、文系の職業の方が給料が多いことを知った子どもたちは、日本には科学技術が大事だとは分かっても、国のために勉強しようとは思わないのではないでしょうか。
――問題はなかなか根深いですね。
【野口】根深いというか、大人の社会で評価されていることが、如実にあらわれてしまっているだけで、そこはいくら理系離れが著しいからといって、お題目で「理科の勉強をしなさい」と言っても、大人の社会での評価を変えなければ、子どもたちは変わらないということです。
宇宙飛行士になれたのは、能力があったというより、ミッションにあてはまったから――高校1年のときにスペースシャトルを見て宇宙飛行士になろうと思ったそうですが、宇宙飛行士になるにはどうすればよいのですか?
<野口聡一/宇宙飛行士(提供 NASA・JAXA)>【野口】講演会でもよく質問されますが、小学生だったら、「体を強くして、学校の勉強を頑張って、友達と仲良く」というようなことを言います。中学生だったら、「英語や理科は大事だから、英語はしっかり勉強して話せるようにしておいたほうがいいよ」と。高校生・大学生になれば、「自分の専門を持って、海外の人たちと渡り合えるくらいの力をつけて、なおかつ体を大事に、不摂生をしないように」と言っています。それは結局、いい社会人というと大げさかもしれませんが、どの職業にも共通のアドバイスになるのではないかなと、いつも思いながら話しているところはありますね。
――ただ、思ってもなれない人がほとんどで、野口さんは572倍もの倍率を勝ち抜いて、さらにそこから宇宙に旅立ちました。そこには、他の人より努力したことや、特別な能力があったのでしょうか。
【野口】能力的にそれほど特別なことはありません。宇宙および航空に関する勉強をしていたことと、あとはタイミングがよかったんだと思います。そのほか、海外の人たちと一緒に働くということも含めて、外の世界に対する興味はちょっと強かったかもしれませんね。
――人よりすごく意識してやったことは、特になかったのですか。
【野口】宇宙飛行士になりたいという人に対する、就職対策とか就職活動って、あまりないんですよね。まず応募条件として、対象者の範囲が非常に広い。理系の学校を卒業して3年程度の実務経験があり、英語が堪能で、加えて、長期間外国で働けるということでしょうか。その前提として、健康な体。たとえば、裸眼の視力が0.1以上(現在の応募条件では両眼とも矯正視力が1.0以上)であるとか、身長が何センチ以上であるとか、医学的な条件は入りますが、それでもたいていの人が落ちるほど厳しい条件ではありません。
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