. Jeanloup Sieff) 没後20年 作家性の再評価が進行中 - SHOOTING(シューティング)
Jeanloup Sieff) 没後20年 作家性の再評価が進行中 - SHOOTING(シューティング)
Jeanloup Sieff) 没後20年 作家性の再評価が進行中 - SHOOTING(シューティング)

#COLUMN STREET ジャンルー・シーフ(Jeanloup Sieff) 没後20年 作家性の再評価が進行中

ファインアート写真市場の中心地は米国ニューヨークだ。毎年、春と秋に大手業者による「Photographs」オークションが開催されるとともに、写真取り扱いディーラーの団体「The Association of International Photography Art Dealers」(AIPAD)主催のフォトフェアも開催されている。フランスでは世界的なフォトフェアのパリフォトが開催され、多くの来場者を集めている。しかし現地の観客の多くは写真鑑賞が主目的、作品を購入するのは米国などから訪れる海外客が中心なのだ。写真がファインアート作品として売れるようになるには、米国市場での認知度アップが極めて重要となる。

Ina, Paris 1959 ©️The Estate of Jeanloup Sieff / G.I.P. Tokyo

その後、2005年にシーフのキャリアを回顧する写真集「Time Will Pass Like Rain」(Contrejour、1990年刊)が、米国Taschen社から再版される。当時のアート系ファッション写真のコレクションブームの影響もあり、やっと米国市場で注目されるようになるのだ。いまでは、シーフ作品は60~70年代フランスのエレガントな時代の空気感を、優れた画面構成を持つモダンなイメージで表現していたと評価されている。

Photo de mode, 1978 ©️The Estate of Jeanloup Sieff / G.I.P. Tokyo

ジャンルー・シーフは1933年パリ生まれ。両親はポーランド人。 スイスで写真を学んだ後、1954年にフリージャーナリストとして写真撮影を開始。1958年までマグナムフォトに参加し、世界各地でルポルタージュを撮影する。1959年、若干25歳でニエプス賞を受賞している。しかし、 彼は当時の写真界で主流だった「決定的瞬間」を求める撮影アプローチには共感できなかった。その後は、雑誌「Elle」などでファッション写真の仕事を行なうようになる。

Photo de mode pour Harper's Bazaar, New York 1962 ©️The Estate of Jeanloup Sieff / G.I.P. Tokyo

Portrait de Judy, New York 1965 ©️The Estate of Jeanloup Sieff / G.I.P. Tokyo

Paysage japonais en Suisse. Vevey, 1959 ©️The Estate of Jeanloup Sieff / G.I.P. Tokyo

彼は非常に多作な写真家だったが、膨大な過去の作品群は整理されることなく長らく放置されていた。そして早すぎる死によってその仕事の全貌は必ずしも明らかにされなかった。2007年になって、ファン待望の多数の未出版、未発表作品がセレクションされた「Les Indiscretes」(Steidl、2007)が未亡人のバルバラ・リックス氏の編集により刊行。2010年には日本でも回顧展「ジャンルー・シーフUnseen & Best Works」が東京都写真美術館地下1階展示室で開催されている。

シーフ作品のプリント販売は、生前にはあまり活発ではなかった。米国市場で彼の人気を決定づけたのが、写真集の再版と共に、2008年末からクリスティーズ・ニューヨークで2回行われた、ファッション系作品中心の「The Constantiner Collection」オークションだった。同オークションでは17作品が出品され、当時の厳しい経済情勢のなかでも全作品が落札、ほとんどが落札予想価格上限を上回っていた。米国市場でもシーフ作品の高い作家性がやっと認知されたのだ。最近では、2020年11月10日にクリスティーズ・パリで開催された「Photographies」オークションで、「Yves Saint Laurent, Paris, 1971」が、落札予想価格7000~9000ユーロのところ、13,750ユーロ(1ユーロ125円/約171万円)で落札されている。

Yves Saint Laurent mis a nu Jeanloup Sieff(Albin Michel, 2010) ©️The Estate of Jeanloup Sieff / G.I.P. Tokyo

ブリッツ・インターナショナル代表。金融機関勤務を経て1991年にアート写真専門のブリッツ・ギャラリーをオープン。写真展やイベントの企画運営、ワークショップやセミナーの開催など、アート写真に関する多様な業務を行っている。1999年にアート写真総合情報サイト『Art Photo Site』を開設。写真市場の動向や写真集の情報を提供している。共著に『グラビア美少女の時代』(集英社新書ヴィジュアル版、2013年刊)、編著に『写真に何ができるか』(窓社、2014年刊)。著書にアート写真集ベストセレクション101(玄光社、2014年刊)がある。

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