資本コスト経営から東証改革の「謎」を解く
平野:ユニクロはホームページでROEを出してますね。 阿部:それはやっぱり意識してるということだね。ニトリもそうだけど、成長してきた企業というのは、例外なくROEは高い。経営者がROEをどこまで意識しているかはともかく、「できるだけ少ない資本で収益力を上げる」というのは商売の鉄則ですからね。 藤吉:そもそも東証がここにきて、資本の効率性を重視した改革を始めた背景は何でしょうか。 平野:あくまで私の主観ですが、やはり国全体として「日本が貧しくなった」という危機意識を政府も東証も共有しているように思います。 阿部:東証の山道裕己前社長(現日本取引所グループCEO)は、ずっとアメリカで仕事をしてきた人だから、ROEの意義を広く伝えて、フォーカスしているという印象がありますね。 藤吉:なるほど。メディアでは、東証が「グロース市場(旧マザーズ等)では、上場から5年後に時価総額100億円未満は上場廃止」という方針を打ち出したことで、小粒上場を問題視しているとか、イノベーションが妨げられるというような議論が目立ちます。でも、それは表層的な話で、本質はもっと深いところにあるんですね。 平野:そうですね。小粒上場が悪いという話ではなくて、本来資金が必要な企業にお金が届いていないことが問題なんです。資本にコストがあるという意識があれば、不要な資本は手放し、その分は必要としているところに回るはずなので。 藤吉:上場の基準をあまり厳しくしすぎると、小さな会社は上場しにくくなるという議論もありますが、それについてはどう思われますか? 平野:機関投資家の立場ではやはり小粒だとやりづらいですし、そもそも日本の場合、上場企業が約4000社あって、これは経済規模に対して多すぎるのも確かです。日本の経済規模の約6〜7倍のアメリカが約6000社と言われていますからね。あまり多すぎると、株式市場のひとつの機能である価値発見機能が十分に働かないというデメリットもあります。 藤吉:確かに。小さな会社にもいい会社はいっぱいあるんですけど、これを見つけるのは無理だろう、と思うことはあります。
text by Hidenori Ito/ photograph by Kei Onaka 2026年5月号発売中 最新号の購入はこちらから定期購読のお申し込み 2026年5月号発売中 最新号の購入はこちらから定期購読のお申し込み関連記事
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