『Cold Cuts』で聴いたポールの秀逸な未発表曲|ビートルズのことを考えない日は一日もなかったVol.44
1曲目は「A Love for You」という、『ラム』に入っていてもおかしくないような良質でポップなロックンロール。なぜこれが未発表なのかと思ってしまうほどの完成度で、一聴してすぐに気に入った。これはポールの未発表曲集であるということに確信を抱きつつ、2曲の「My Carnival」へ。メロディよりもリズムに重きを置いたパーティーチューンだが、これは「スパイズ・ライク・アス」のB面に収録されていたのでお得感はなく、続く「Watersprout」「Momma’s Little Girl」は、いかにもポールらしい優しいメロディをもった絶品のバラードでこれには唸った。B面も「Did We Meet Somewhere Before?」「Tragedy」「Same Time Next Year」など佳曲が並ぶ。とてもボツ曲と感じさせない高水準を誇り、『プレス・トゥ・プレイ』よりも好きかも、と『Cold Cuts』は自分の中で名盤認定された。
『COLD CUTS(ANOTHER、EARLY VERSION)』
それから少し経ったあとに今度は『Cold Cuts(ANOTHER,EARLY VERSION)』なるレコードを再びウッドストックにて発見した。当時は暇さえあれば西新宿をうろついていた。リチャード・リンドナーの画をバックに黒いアコギ(ギブソンのエヴァリー・ブラザース・モデル)をもったポールのモノクロ写真をフィーチャーしたレコードジャケットがおしゃれ。こちらもとても海賊盤とは思えない立派な仕様である。またもや内容も確認せず、即購入したのだが、裏ジャケを見てみると、前に買った『Cold Cuts』と収録曲の一部が重複していて、これはどういうことなのかと少し頭が混乱してしまった。家に帰り、レコードに針を落としてみると、同じ曲だがミックスが異なることに気づいた。あとで知るのだが『Cold Cuts』には78年、80年、86年の3つバージョンがあり、それぞれ収録曲やりミックスが異なっているとのことだ。
この『ANOTHER,EARLY VERSION』は、重複曲に加えてデニーやリンダの曲も収録されていたので、ポールの曲は少なく、『Cold Cuts』ほど聴きどころはない。しいて言えば「Tomorrow」のインストバージョンくらい。それでも、ポールの未発表曲を高音質で聴けることはありがたく、コレクションのひとつとしてレコード棚に収まった。
この2枚にに収められた曲は、のちにシングルのB面やデラックエディションの際に収録(「プット・イット・ゼア」のシングルCDに「Same Time Next Year」が収録されたのはうれしかった)されていったので、今となっては特筆すべきレコードではないが、80年代のビートルズ史おいて『Cold Cuts』は、ビートルズ『Sessions』『Ultra Rare Tracks』やジョンの『Lost Lennon Tapes』と同じくらい重要な海賊盤であったといって違いない。
初めて観たウイングスの72年のオランダ公演映像
ポールのファンクラブ会報『Club Sandwich』竹部吉晃
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