. All Of Me の3-14小節目 - 吉岡直樹のジャズ・スタンダード研究
All Of Me の3-14小節目 - 吉岡直樹のジャズ・スタンダード研究
All Of Me の3-14小節目 - 吉岡直樹のジャズ・スタンダード研究

All Of Me の3-14小節目

この時代になると、純粋なマイナー・キーの曲はごくわずかで99%くらいの曲が平行調か同主調のメジャー・キーに一時的に転調します。私が調べた範囲では、ジャズの演奏で取り上げられる曲のうち、平行調や同主調のメジャー・キーに転調しない純粋なマイナー・キーの曲は、マイナー・ブルースと、「素敵なあなた」の邦題で知られる Bei Mir Bist Du Schön くらいではないかと思います。調べ方が甘い、とお叱りを受けるかもしれませんが、ぜひご自身でマイナー・キーの曲をあたっていただければ、例えば Summertime のように1コーラスが短いシンプルな曲であっても一時的に並行メジャーに転調する曲がほとんどであることが実感できるかと思います。確かにジャズ・オリジナルを中心にもう少し丁寧に探すと純粋なマイナー・キーの曲がもう少し見つかりそうなので、ご指摘はごもっともなのですが。

さて、All Of Me はメジャー・キーの曲です。一見したところ、ほとんど転調していないように思われます。

例えば、7-8小節目は、メジャー・キーのコンテクストでみると IIm7 です。確かにダイアトニック・コードで、直後に V7 に近いコードはないのでドミナントV7に先行する関係コードではなく(9小節目を VIIm7 (♭5) としてもこれは10小節目のE7の関係コードであってドミナント代理と解釈するには無理があるだろう)、かといって、サブドミナント・メジャー代理と考えるにも釈然としないものがあります。

しかし、これらをマイナー・キーの文脈で考えると、それぞれに前置されるドミナント・セブンス・セブンスコードは、サブドミナントへのセカンダリ・ドミナント I7 とドミナント V7 になり、さらに、3-4小節目も、ドミナント(これは、サブドミナントへのセカンダリ・ドミナント I7 へのドミナントであるけれども)と解釈できます。

さらに、13-14小節目は、マイナー・キーのコンテクストでは IV7 ですが、これはトニック・マイナー代理です。Mas Que Nada の Im7 IV7 の繰り返しがともにトニック・マイナーであったり、Chelsea Bridgeの冒頭の Immaj7 をIV7に置き換えたりできることからも明らかでしょう。ドミナント・セブンス・コードでありながらドミナント機能を持たないものは、マイナー・コードの代理コードであるケースが少なくありません(ほかにもあります。例えばトニック・ディミニッシュ代理のVII7など)。

話がそれましたが、13-14小節目はマイナー・キーの文脈ではトニック・マイナー代理 IV7 で、これはメジャー・キーの文脈で見れば素直にダブル・ドミナント II7 ですからこれはピボットになっているのですね。

面倒くさいと思うか、興味深いと考えるかは人それぞれだとは思うのですが、少なくとも All Of Me の12キーを練習することがマイナー・キーの苦手意識の克服に役立ちそうだということはいえるのではないかと思います。

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