. 8番 へ長調 - 孤独のクラシック ~私のおすすめ~
8番 へ長調 - 孤独のクラシック ~私のおすすめ~
8番 へ長調 - 孤独のクラシック ~私のおすすめ~

孤独のクラシック ~私のおすすめ~

クラシックおすすめ曲のご紹介と、歴史探訪のブログです。クラシックに興味はあるけど、どの曲を聴いたらいいのか分からない、という方のお役に立ちたいです。(下のメニューは横にスライドしてください)

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ユーモアがギュッとつまったミニ・シンフォニー。ベートーヴェン:交響曲 第8番 へ長調

ベートーヴェンが自作で最高としたシンフォニー

ベートーヴェンは、シンフォニー第7番の作曲を1812年5月頃にいったん終え、間をおかず第8番 ヘ長調の作曲にとりかかり、その年の年末までに完成させています。

その後、第7番にも細かい修正を加えて年明けに最終形に完成させていますので、この2曲はセットとして平行して創られたといってよいでしょう。

ちょうど、第5番〝運命〟と第6番『田園』と同じような兄弟作品です。

演奏時間がおよそ30分と、古典派の古いシンフォニーの規模に戻っています。

ベートーヴェン自身、この曲をたびたび〝小さなシンフォニー〟と呼んでいたのも、この曲が軽く見られる一因ですが、一方で彼は、『このシンフォニーが評価されないのは、あまりに優れているからだ。』とも、『自分の最も優れたシンフォニー』とも言っています。

風雲急を告げた、ヨーロッパ情勢の中で

1812年6月23日フランス皇帝ナポレオンは、自分の出した大陸封鎖令を守らないロシアを懲らしめるため、ヨーロッパ史上最大となる77万の大軍を率いて攻め入りました。

2回にわたってウィーンを占領され、さんざんナポレオンに苦しめられたオーストリア・ハプスブルク家は、1810年に皇女マリー・ルイーズナポレオンの皇后にすることでその矛先から逃れることができ、ホッと一息ついていました。

前回触れたように、1812年7月にベートーヴェンがゲーテに会うために訪れたボヘミアの高級保養地テープリッツには、オーストリア皇帝フランツ2世とその皇后、ザクセン王、ワイマール公などのドイツ諸侯が集まっていました。

さらには、夫が遠征中のフランス皇后マリー・ルイーズまで、里帰りの保養という名目で来ていました。

ナポレオンのロシア遠征がどうなるか、その成り行きで国際情勢は大きく変わりますので、温泉地で夏の避暑と保養と称して、王侯たちがひそかに裏サミットをしていたわけです。

詩人にしてワイマール公国の宰相的地位にいたゲーテは、その関係でテープリッツにいたということです。

ベートーヴェンが結婚を諦めた日

また、テープリッツに到着したその日に、ベートーヴェンは〝不滅の恋人〟への手紙を書きます。

おそらくはベートーヴェン最後の失恋であり、結婚願望を最終的に諦めた時期でもありました。

弟の結婚に反対したものの

ベートーヴェンは9月末にウィーンに戻りますが、リンツに住む弟ヨハンが家政婦と結婚するという知らせを受けます。

モーツァルトもリンツでシンフォニーを作曲しましたが、この曲は〝ベートーヴェンのリンツ〟といってもよいでしょう。

メトロノームを模した説

また、第2楽章の、時計のように刻むリズムとメロディは、メトロノームを模したもの、ということがよく言われます。

メトロノームの発明者といわれるヨハン・ネポムク・メルツェル(1772-1838)は、自動オーケストラ機械というべき「パンハルモニコン」を発明し、そのためにベートーヴェンに「ウェリントンの勝利またはビトリアの戦い(戦争交響曲)」の作曲を依頼しました。

その評判がよいので、メルツェルはあらためてちゃんとした交響曲用の作品に編曲するよう勧め、それを引っさげて一緒に英国に行こう、とベートーヴェンに持ちかけます。

メルツェルは、ハイドンをロンドンに招いた名プロデューサー、ザロモンに比べたらかなり不誠実な人間で、ベートーヴェンは組んだ相手が悪かったようです。

ベートーヴェンは1817年12月17日に、自作のシンフォニー第1番から第8番までのテンポ指定を、ライプツィヒの『総合音楽新聞』に一覧として掲載しました

指揮者を悩ませるベートーヴェンのテンポ指定

それを覆したのが、1980年代以降の古楽器演奏です。

そこには、またあの大ウソつき、ベートーヴェンの自称秘書、シンドラーがでっちあげた可能性が高いのです。

シンドラーはその『ベートーヴェン伝』で、メルツェルがウィーンを離れるときの送別パーティーにて、ベートーヴェンが記念としてその場で作曲して贈った『タタタ・カノン』がこの曲のもとになった、としています。

「メトロノーム」ではなく「クロノメーター」?

ちなみに、1813年にメルツェルはメトロノームの前身となる「クロノメーター」という機械を作っていました。

ちなみに、ベートーヴェンの9曲のシンフォニーのうち、調性がかぶっているのは、ヘ長調『田園』と第8番だけです。

ベートーヴェン:交響曲 第8番 へ長調 Op.93

Ludwig Van Beethoven:Symphony no.8 in F major, Op.93

演奏: ジョルディ・サバール指揮 ル・コンセール・ナシオンJordi Savall & Le Consert des Nations

第1楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ・エ・コン・ブリオ 第2楽章 アレグレット・スケルツァンド 第3楽章 テンポ・ディ・メヌエット 第4楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ

しかし、全楽章に通貫するテーマは〝ユーモア〟日本語で言えば〝諧謔〟であり、これはハイドンのシンフォニーのコンセプトでもあります。

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