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線形写像の定義・性質と具体例8つ

f(k\boldsymbol + l \boldsymbol) = k f(\boldsymbol) + l f(\boldsymbol ) で k = l = 1 とおくと f(\boldsymbol+ \boldsymbol) = f(\boldsymbol) + f(\boldsymbol) が従い, l = 0 とおくと f(k\boldsymbol) = kf(\boldsymbol) が従う。

証明終

線形写像の具体例8つ

以下では,特別言及しない限り, \mathbb 上ベクトル空間を考え, k, l \in \mathbb とします。

例1.

a \in \mathbb とする。 \color f\colon \mathbb \to \mathbb を \color f(x) = ax とすると,これは線形写像である。

\mathbb を \mathbb 上ベクトル空間と考えています。

線形写像であることは, x, y, k \in \mathbb に対し,

\begin f(x) + f(y) = ax + ay = a(x+y) = f(x+y), \\ f(kx) = a(kx) = k(ax) = kf(x) \end

であることからわかります。 線形写像とは, f(x) = ax のような,「1次の変換」の一般化 と思えます。次の例を見てください。

例2.

f\colon \mathbb \to \mathbb を f(x) = x^2 とすると,これは線形写像ではない

実際, f(1+1) = 4 \ne 2 = f(1) + f(1) なので,線形写像の性質が成立していません。

f(x) = x^2 は「2次の変換」と言えます。線形写像はあくまで「1次の変換」であり,「2次の変換」ではありません。

例3.

f\colon \mathbb \to \mathbb を f(x) = x + 1 とすると,これは線形写像ではない

線形写像ならば f(0) = 0 でしたから,これは線形写像ではありません。定数項があってはダメです。

例4.

\color f\colon \mathbb \to \mathbb を \color f(x,y,z) = x + y + z と定めると,これは線形写像である。

例5.

f\colon \mathbb \to \mathbb を f(x,y,z) = |x| + |y| + |z| と定めると,これは線形写像ではない

実際, f(1,0,0) + f(-1,0,0) = 2 \ne 0 = f(0,0,0) なので,線形写像ではありません。

例6.

\displaystyle \color \frac\colon C^1(\mathbb) \to C(\mathbb) を, \color f \mapsto f^\prime と定めると,これは線形写像である。

ただし, C^1(\mathbb) は C^1 級関数(微分可能かつ微分が連続な関数)全体の集合, C(\mathbb) は連続関数全体の集合を表す(→ C1級,Cn級,C∞級関数の定義と具体例5つ)。

微分を返す写像は,線形写像 というわけです。実際, (kf+lg)^ = k f^\prime + l g^\prime なので,線形性を満たしています。

例7.

\color f\colon C[0, 1] \to \mathbb を, \color f(x) = \int_0^1 x(t) \, dt と定めると,これは線形写像である。

積分を返す写像は,線形写像 というわけです。実際, \int_0^1 (kx(t) + l y(t)) \, dt = k \int_0^1 x(t) \, dt + l \int_0^1 y(t) \, dt であることからわかります。

例8.

確率変数 X に対し,その期待値を返す関数 \colorE \colon X \mapsto E[X] は線形写像である。

期待値を返す写像は,線形写像 というわけです。実際, E[kX+lY] = k E[X] + l E[Y] なので,線形写像です。

線形写像の性質

線形写像の基本的な性質

定理(線形写像の性質)

V, W をベクトル空間, f\colon V \to W を線形写像とする。このとき,

  • f(\boldsymbol) = \boldsymbol.

また,さらに X をベクトル空間, g\colon W \to X を線形写像とすると,

  • g\circ f \colon V \to X も線形写像である。

証明

( f(\boldsymbol) = \boldsymbol について)

f(k\boldsymbol) = kf(\boldsymbol) で, k = 0 とすれば従う。

( g\circ f が線形写像であることについて)

\begin &g\circ f(k\boldsymbol + l \boldsymbol) \\ & = g(kf(\boldsymbol )+ l f(\boldsymbol) \\ &= kg(f(\boldsymbol)) + lg(f(\boldsymbol)) \\ &= k \, g\circ f(\boldsymbol) + l \, g\circ f(\boldsymbol) \end

よって g \circ f は線形写像である。

証明終

線形写像のその他の性質

定理(線形写像の性質2)

V, W をベクトル空間, f\colon V \to W を線形写像とする。このとき,

  1. \mathrm \, f = f(V)= \ は W の部分ベクトル空間。
  2. \ker f = \ は V の部分ベクトル空間。
  3. f が単射である必要十分条件は \ker f = \ となることである。

1-2.の証明については,以下で解説しているため,参照してください。

線形写像の像(Im),核(Ker)の定義とそれが部分空間になる証明 まず,線形写像における像 (image)・核 (kernel) の定義を確認・図解します。そしてこの二つがベクトル空間になることを証明しましょう。 mathlandscape.com

3.の証明については,以下を参照してください。

線形写像が単射になる必要十分条件は核(Ker)が0になる証明

今回のテーマは,いつ線形写像が全射・単射になるか,特に「いつ単射になるか」については非常に大事なので,これについて証明します。主張は以下の通り: 線形写像が単射になるのと,Ker f = となるのは同値である。

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線形同型写像

線形写像が全単射のとき,逆写像も線形写像になります。これを 線形同型 (linear isomorphism) といいます。これについては,以下で解説しています。

線形同型写像とベクトル空間の同型 mathlandscape.com

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