80年代キング・クリムゾンがなぜ今蘇ったのか? エイドリアン・ブリューが語る当時の秘話とBEATの魔法
実際、BEATのパフォーマンスは驚異的に素晴らしい。8月29日に日本先行リリースとなるライヴアルバム『ライヴ~イン・ロサンゼルス 2024』も見事な内容だ。「Neurotica」のような勢いのある曲はほとんどブラック・ミディ、「The Sheltering Sky」などの静謐な展開はTOOLの瞑想的なパートをそのまま想起させる。どの曲でもヴァイのリードギターは(フリップとは別物の)あの独自のトーン、それでいて全体の印象は完全に80年代のキング・クリムゾン……という聴き味は魔法のようでさえある。
BEAT結成までの5年間
—BEATとしての来日公演は今回が初めてとなります。このバンドが結成された経緯を教えていただけますか? あなたは2019年からプロジェクトを実現させるために動いていたそうですが。
エイドリアン:そうなんだ。2019年に、80年代のキング・クリムゾンで僕たちが作った音楽(『Discipline』)の40周年がもう2年後に迫っているということに気がついた。そこで、僕はロバートに連絡して、僕たちの誕生日を祝うために何かやるべきではないかと提案した。そして、興味はあるかと彼に訊いたんだ。彼には参加できない様々な理由があったけど、「君がやりたいのであれば(If it’s something you want to drive)、私はそれを喜んで受け入れよう」と言ってくれたんだ。それで僕はそのことを考え続けて、Celebrating David Bowieツアーで一緒に仕事をしていたアンジェロ・ブンディーニにプロデュースしてくれないかと頼んだんだ。僕だけで話を進めるのは荷が重すぎたからね。かいつまんで言うと、彼はチームを組んでくれて、僕たちもプロジェクトに取り組み始めた。まず僕がやったのは、スティーヴ・ヴァイに連絡することだった。スティーヴ・ヴァイがロバートの役を担ってくれたら、実現させることができるのではないかと思ったからだ。
—そのスティーヴ・ヴァイとダニー・ケアリーは、いずれもこのバンドにとってこれ以上ないくらいの適任だと思います。この二人の魅力はどんなところにあると思いますか?
一方、ダニー・ケアリーとはずっと前から知り合いだった。彼はレス・クレイプール(プライマス)と一緒に、僕のソロ・アルバム(2005年の『Side One』と2006年の『Side Three』)に参加していたし、最初に会った時は僕のことをぎゅ〜っと抱きしめてくれた!(笑)僕と出会えてびっくりしたんだって。80年代のキング・クリムゾンは彼の人生を変えたバンドで、あの音楽がなかったら今頃どうなっていたかわからなかったと言ってくれた。そして、彼と出会ってから何度も共演して、彼がビル・ブルーフォードを大好きなことも知った。だから、彼こそがうってつけのドラマーだと思ったんだ。
BEAT「Frame by Frame 」ライヴ映像(『ライヴ~イン・ロサンゼルス 2024』より)
—2001年には、キング・クリムゾンとTOOLが一緒にアメリカ西海岸ツアーを行ないましたよね。憶えていますか?
—その際、「Red」や「Frame By Frame」など一部の曲でダニーがドラムをプレイする場面もあったようですね?
エイドリアン:そうなんだ。彼は他にもそうしたことをやっていた。僕のトリオや、The Crimson ProjeKCt(エイドリアンとトニーのバンドが合体したもので2011年〜2014年にかけて活動、実質的にBEATのプロトタイプと言えるグループ)への客演などでね。だから、彼はこのバンドのドラマーに完全にうってつけだったんだ。でも、確実に実現するとは思っていなかった。彼はやるかもしれないし、やらないかもしれなかった。TOOLは大成功していて、ツアーをよくやっている。僕はいいタイミングで彼をつかまえたわけだ(笑)。
—そういったことの全てが、BEATの活動につながったわけですね。
Translated by Mariko Kawahara
PICK UPS
- Music Traveler 06 feat.岩田剛典 「旅の醍醐味はインプット」初のソロアジアツアーと思い出の旅
- Rolling Stone Japan / ツタロックフェス 採用情報 新規メンバーを募集します!詳細はバナーをクリック!