ベートーヴェン 交響曲第6番『田園』
モントゥー は普段聴きにも使えるので、一番バランスがいいと思います。古楽器演奏は単に古楽器やピリオド奏法で演奏したからといって、何も出てきません。第九もそうですが、「田園」は一時代先を行っているかも知れません。 フルトヴェングラー は聴いておいたほうがいいですね。私は中学の時に始めて聴きましたが、なんであんな演奏なのか全く理解できませんでした。理解できなかったら、しばらく時間をおいてまたトライすれば理解できる時が来ると思います。
古楽器系では、 ガーディナー は聴くべきですね。ガーディナーは全集を持っておいて損はありません。あとは、 ベルリン古楽アカデミー も良い演奏です。カップリングのクネスト作曲の「田園」が聴けますが、その後、ベートーヴェンの「田園」が始まると、ベートーヴェンって凄いなと思います。
カラヤン=ベルリン・フィル (1970年代) ベルリン・フィルの機能性が最大限発揮された名盤指揮 ヘルベルト・フォン・カラヤン 演奏 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
カラヤンとベルリン・フィルの1970年代の録音です。カラヤンは奇数番号のほうがあっている気がしますが、「田園」も良いですね。 すっきりしていてわざとらしい表現もない ので、曲の良さがストレートに伝わってきます。コマーシャルの音源になりそうな、期待を裏切らない質の高さです。
第1楽章は意外にテンポが速く、古楽器演奏と同じくらいの速さです。 有名な主題もクオリティが高く満足 できます。良い意味でシンフォニックでスタイリッシュさのある演奏です。弦は艶やかさがあり、木管は非常にレヴェルが高いです。素朴さはあまり感じませんが、最近の古楽器の演奏を先取りしたような表現があり、さすがと思います。
第2楽章も少し速めで、すっきりしています。 ベルリン・フィルの磨き抜かれた響きから神々しさ も感じられます。弦の響きが美しく折り重なり、その上で名手ぞろいの木管が歌います。神々しいとしか表現できない演奏です。
第3楽章は リズミカルにダイナミックに 盛り上がります。農民の踊り、からは程遠い演奏です。木管もホルンも透明感が感じられます。中間部もスケールが大きいです。第4楽章は 圧倒的スケールで腰が抜けるレヴェル です。 さすがベルリンフィルと感嘆 します。ティンパニは物凄い強打とロールで、まるで悪魔のようです。ここまでやるからにはカラヤンもただの嵐とは考えていないでしょうね。ベルリン・フィルの機能全開で、よくこんな凄い演奏ができな、と心底感心します。第5楽章はおだやかですが、素朴というよりスケールの大きさが感じられます。凄いのは第1楽章から第5楽章まで、シンフォニックな方向で、きれいに一体化していることです。
また 自然美をそのまま描いたのではなく、神々しさと品格 を常に保っています。カラヤンのチャイコフスキーの演奏に見られるような過度なロマンティックさもありません。
バーンスタイン=ウィーン・フィル指揮 レナード・バーンスタイン 演奏 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
レナード・バーンスタインとウィーン・フィルの録音です。ライヴ録音ですが、ウィーン・フィルのふくよかな響きがしっかり録音されていて、音質は良いです。
第1楽章は 冒頭のメロディが非常に親しみやすく 、ウィーン・フィルの素朴でふくよかな音色を使って、 自然美に溢れた演奏 です。難しいことを考えず、田舎の自然に浸りたい人にとてもお薦めです。バーンスタインは自然体ながら、テンポを細かく操って曲を作っていきます。曲の途中の盛り上がりは幸福感に満ちていて、溌溂としています。第2楽章は 落ち着いたテンポで味わい深く弦を歌わせています 。木管のソロが素朴で味わい深く、弦の響きもコクがあって、暖かみがあります。最後の木管の鳥の鳴き声を模した個所もとても深い味わいがあります。
第3楽章は速めのテンポでスリリングさもある演奏です。クレッシェンドするとかなり盛り上がります。ホルンの音色が印象的です。中間部はさらに速いテンポでリズミカルです。第4楽章はかなりの迫力です。 ティンパニが思い切り鋭く叩き、クレッシェンドもスリリング です。第5楽章は穏やかな田園地帯を描いた演奏で、意外に力強さもある演奏になっています。
バーンスタインの指揮も良く、ウィーン・フィルもふくよかで、フォルテになるとかなりダイナミックです。初めて『田園』を聴く人や、スタンダードな名盤が欲しい人には是非お薦めしたい名盤です。
サヴァール=ル・コンセール・デ・ナシオン 第1楽章から神々しさがあり正にパストラル、古楽器の響きも存分に楽しめる名盤指揮 ジョルディ・サヴァール 演奏 ル・コンセール・デ・ナシオン
古楽器の演奏でジョルディ・サヴァールとル・コンセール・デ・ナシオンの録音です。古楽器演奏の中でもサヴァールは結構感情を入れるのが上手い指揮者です。またル・コンセール・デ・ナシオンは結構渋くコクのある音色を出してきます。録音は2020年で新しく、 透明感とコクのある古楽器オケの響きを堪能 できます。
第1楽章は古楽器演奏らしく、速めのテンポで始まります。ル・コンセール・デ・ナシオンのコクのある響きが良く録音されています。 小気味良さのある演奏で、さらに熱気が加わり 、盛り上がります。弦の音色は『田園』らしいバラスです。 古楽器の木管やホルンの響きに美しさ があります。
第2楽章は 少し遅めのテンポで味わい深く、とても自然体の響き です。透明感の中にも中低音域がしっかりしており、それが深みを感じさせます。弦の高音域もきつくならず、とてもまろやかです。他の演奏では聴けない奥深さのある響きです。曲が進んでくると、深みのある味わいがさらに身に染みてきます。 最後のフルートと木管のアンサンブルはとても素晴らしい世界観 を作り出しています。
第3楽章は速めでとてもリズミカルです。 スフォルツァンドの所では熱気 も感じます。木管が古楽器らしい音色で歌い、 ホルンは本当に上手く、どんな楽器を使っているのか知りたい 感じです。古楽器と言ってもベートーヴェンの時代は急速に機構が進化しているので、ナチュラル・ホルンとは限らないと思います。第4楽章は バロック・ティンパニの鋭さを活かして、とてもシャープでダイナミック です。金管も容赦なく咆哮させ、トゥッティでは密度が濃く力強いです。第5楽章は嵐の後の透明な美しさから始まり、徐々に味わい深く盛り上がります。透明感とこの流れの良さはサヴァール盤の特徴ですね。そして、おだやかに展開していき曲を閉じます。
カップリングの中で、第九は特に名演です。古楽器のベト全の中でも響きに味があり、ただ速いのではなく、しっかり表現していて深みを感じる名盤です。
ベーム=ウィーン・フィル ゆっくりしたテンポで端正に『田園』を描く指揮 カール・ベーム 演奏 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
カール・ベームとウィーン・フィルの録音です。 円熟したベームとウィーン・フィルの柔らかい響き の相乗効果でとても『田園』らしい演奏になっています。録音はとても良く、味わい深く聴くことが出来ます。
第1楽章は 冒頭の有名な主題から、とても端正でウィーン・フィルの味わい深い音色 で心をつかまれます。ベームは単に田園風景を描く訳ではなく、シンフォニックにしっかりした演奏を繰り広げています。それで結果として『田園』らしい味わいが出てきている、と思います。弦セクションは、とてもしっかりまとまっていて、しなやかさがあります。木管の素朴さはウィーン・フィルならでは、です。全体としてとてもクオリティの高いアンサンブルです。第2楽章は 遅めのテンポでゆったりと 進んでいきます。木管の色彩的な音色、弦の端正な佇まいは、神々しさすら感じさせます。じっくり味わえる名演です。
第3楽章は舞曲風に演奏しています。強弱のメリハリも大きく、スフォルツァンドが強調されていて、しっかりしたリズムです。 ベームらしく構築的なサウンドですが、とても自然体の演奏 です。管楽器では ホルンの演奏が特に素晴らしい ですね。第4楽章は速めのテンポで不吉な雰囲気を出しています。 重厚な響きの『嵐』で、ベームらしい ですね。金管はオケの上でスケールの大きな響きです。第5楽章は単なる自然賛美というだけでなく、静謐で神々しさが感じられます。弦は譜面通りしっかり鳴らしており、『田園』という表題にあまり影響されず、シンフォニックにまとめています。
カール・ベームは他の曲では重厚すぎたり、テンポが遅すぎる演奏もありますが、この『田園』は全てが丁度良く、ベームとウィーンフィルの録音の中でも特に素晴らしい名盤です。
ガーディナー=オルケストル・レヴォリュショネル・エ・ロマンティク指揮 ジョン・エリオット・ガーディナー 演奏 オルケストル・レヴォリュショネル・エ・ロマンティク
ガーディナーとオルケストル・レヴォリュショネル・エ・ロマンティクの古楽器演奏です。「田園」に関して言うと、古楽器でなければ良さが分からない、というタイプの曲ではないと思います。ですが、このガーディナー盤は非常に質が高いですね。
一見すっきりとまとめていますが、 「パストラル」の雰囲気を良く表現 していると思います。特に豊かな響きを使って田園風景を描き出すわけではなく、早いテンポと透明感の高い響きになっています。ただ人数は多いので、豊かな響きを出すべき部分では豊かに演奏しています。
第3楽章~第5楽章も、 充実した名演奏 です。何よりテンポが適正なのだと思います。「嵐」の場面も思い切りダイナミックです。古楽器オケなのにこれだけのサウンドが出るのは凄いですね。
全体の完成度の高さも素晴らしいです。「田園」を聴くなら外してはいけない名盤です。
ベルリン古楽アカデミー 透明感のある響きの中、力強く表情豊かな名演指揮 ベルンハルト・フォルク 演奏 ベルリン古楽アカデミー
ベートヴェンの『田園』は、小編成の演奏で、これまでの「田園」とは雰囲気が大分違いますね。田園交響曲と言えば、ワルターの演奏のように、ふくよかに演奏するものという先入観があるからですけど。音質は透明感があり、とても良いです。
第1楽章は速めのテンポで 有名な主題をとても自然に 聴かせてくれます。古楽器による演奏の中でも弦がしっかりしていて、モダンオケの演奏に近い部分があると感じます。 どんどん前に進んでいく推進力があり、聴いていて心地よい です。弦は少なめですが、管楽器と上手くバランスをとって、田園らしい充実した響きになっています。第2楽章は小編成のほうが合うみたいです。少し遅めのテンポで透明感のある響きで、じっくり演奏していきます。 とても自然体でリズムに乗って心地よく 聴けます。
第3楽章はリズミカルで非常に楽しめます。結構あっという間に慣れてしまうものですね。まあ筆者が古楽好きだから、というものあるかも知れませんけれど。第4楽章は バロックティンパニを思い切り鳴らして大迫力 です。ダイナミックというよりある種の凄みを感じます。 ティンパニはソロのように豪快に演奏 しています。表現の仕方が良く練られていて、各パートのアンサンブルは有機的です。第5楽章は透明感があり、おだやかに始まります。 結構感情も入れて盛り上がり、金管はスケールが大きい です。弦の細身の響きと金管のダイナミックさを上手く対比させて、喜び溢れる演奏となっています。
テンポは全体的に速めです。ベートーヴェンの譜面に対してインテンポなのだと思いますけれど。一番大事なのは、 独特の透明感が神々しい雰囲気を醸し出している ことです。やはり紹介文などを読んでも感じますが、ベルリン古楽アカデミーは、パストラルの意味合いを大事にしているようですね。これまで「田園」に感じていた固定観念を綺麗に洗い落としてくれる名盤です。
クネヒト (1752-1817)の「自然の音楽による描写、あるいは大交響曲」とカップリングされています。全5楽章構成で、第3楽章の嵐を中心に自然美が描かれています。牧人やバグパイプも登場するこの交響曲はまさに「パストラル」交響曲です。ベートーヴェンがこの曲を知っていた可能性は十分にありそうです。下の方でブルーレイも紹介しておきます。
アバド=ベルリン・フィル指揮 クラウディオ・アバド 演奏 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
アバドとベルリン・フィルの録音です。アバドと言えばウィーン・フィルとの録音が名盤とされていますが、管理人的ンはベルリン・フィルとの録音の方が、アバドらしい爽快さがあって良いと考えます。録音はしっかりしたデジタル録音で解像度も高く良いです。
第1楽章は アバドのリズム感とベルリン・フィルの正確なアンサンブルが素晴らしく 、ドイツ的な雰囲気は出ていませんが、普通に演奏するとこうなると思います。テンポは速めですが、ピリオド奏法が浸透した今では丁度良い速さと思います。そして、 楽譜を深く読み込んでいて、そこに書かれていることを生き生きと再現 しています。ウィーン・フィルのようなオケ自体が持っている神々しい響きはないですが、わざとらしさが無く、とても自然な演奏です。第2楽章は 速めのテンポでそよ風のようなリズムの揺れが心地よい です。スコアが透けて見えるような演奏でクオリティが高く、そこから味わい深さが自然と出てきています。オーボエやチェロなどは味わい深いです。クラも艶やかに歌っていて、とても味わい深いです。後半は弦の響きも深みが出てきて、動きも大きくなり、純粋な喜びが感じられます。
第3楽章は 力強さのあるスケルツォ です。ホルンなどもかなり思い切り鳴らしていて、狩のホルンといった感じです。中間部も弦が少し粗野と言えるほど思い切り弾き切っています。第4楽章は 悪魔的と言える大迫力 です。この楽章は「嵐」というよりもダイナミックな演奏も多いですが、第4楽章の始めから、うねる様な大迫力で圧倒されます。最高潮でのティンパニのロールなどは、バロックのような叩き方ですが、この方が迫力がでます。第5楽章は速めのテンポですが、 爽やかな演奏で安心感 があります。クレッシェンドしてくると弦を中心に喜びは頂点に達し、凄い開放感です。『幻想交響曲』につながる様な パストラルの世界が感じられるストレートさ です。
リリースした当時は理解されなかったかも知れませんね。なかなか入手困難ですが『田園』の一番のリファレンスとして、レビューしておきたい一枚です。今、聴いてもインスピレーションを刺激される名盤です。
ワルター=コロンビア交響楽団 最も親しみやすくイメージ通りの『田園』指揮 ブルーノ・ワルター 演奏 コロンビア交響楽団
ブルーノ・ワルターとコロンビア交響楽団の録音です。「田園」といったらブルーノ・ワルターですね。私が中学生の時から、既に定番となっていた録音です。今聴いても野暮な感じを受けることはありませんし、やはりこれを超える味わいのある演奏はなかなか出てきませんね。最近、このCDは聴いていませんでしたが、音質は随分良くなった気がします。
第1楽章はまさに ヨーロッパの田園地帯が目に浮かぶような演奏 ですね。野暮という程ではありませんが、田舎臭さもあります。オケを気分よく鳴らしていて、田園地帯を散歩している感じです。絵画的な「田園」というか、絵画的になることを全く厭(いと)わない、自然な演奏ですね。それも長い歴史のあるオケではなく、録音用に編成されたコロンビア交響楽団で演奏しているんです。(ニューヨークフィルとの演奏もありますけど。)即席オケなのにアンサンブルも鉄壁で、音楽の内容も含め迷いなく完成されている雰囲気です。第2楽章も同じですが、もう少し清涼感とか神々しさがあってもいいような気もするのですが、やはり絵画的です。フルートやファゴットのソロなど、物語的な感じすらします。でも、作為的であったとしても目立つことはないし、この 楽章の最後のほうになると自然の素晴らしさに感動 させられます。
第3楽章は農民の踊りを地でいっています。第4楽章の「嵐」は、これまで聴いた中で一番穏やかです。ヨーロッパでよくある普通の「嵐」を描写しているように思えます。ヨーロッパって、車で高速道路を走っていると、突然ザーッと大雨が降ってきて、2時間もすると止んでしまうんです。そして、凄い虹が出ます。日本の台風とは全然違うタイプの「嵐」です。
第5楽章は 自然賛歌 です。「物語」のようですね。あまり深刻ではないハッピーエンドの「物語」です。少々神々しさはありますが、「自然の猛威はあるけれど、やっぱり自然は素晴らしい」という雰囲気です。
こんなに聴きやすい「田園」は、なかなかありません。「田園」は本当に色々な演奏がありますが、一番素直で聴きやすいですし、やはり古い録音なのに今でも人気がある理由はよく分かります。初心者で迷っている方は一番にお薦めしたい名盤です。
モントゥー=ウィーン・フィル 自然体だが本質をついた神々しさのある演奏指揮 ピエール・モントゥー 演奏 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
モントゥーとウィーン・フィルの録音です。モントゥーといえば、あのストラヴィンスキー「春の祭典」を初演した指揮者です。しかし、近代音楽から古典音楽まで、名演を残しています。「田園」といえば、モントゥーに合いそうな曲ではありますが、さらに期待以上の名盤です。
ベートーヴェンの代表はこのディスク ですね。モントゥーは自然体ですけど、おそらく曲への理解の深さが半端ではなく、 「田園」で聴くべきところを、十二分に聴かせてくれる超名盤 です。
意外なことに第4楽章の 「嵐」のシーンは目から鱗が落ちる名演 です。やはり「幻想交響曲」やマーラーなどにつながる神秘的な要素を持っている曲なんだろうな、と感じます。
フルトヴェングラー=ベルリン・フィル (1954年) 遅いテンポで神々しいフルトヴェングラーの『田園』指揮 ウィルヘルム・フルトヴェングラー 演奏 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
フルトヴェングラーはベートーヴェンを得意としていますが、それは主に奇数番号で、「英雄」「運命」は名盤があり、第九に至っては「神盤」があります。でも、その中で「田園」は独特で、昔は実は苦手なのではないか?と言われていました。どれを聴いても演奏スタイルは近そうです。出来るだけ新しい録音となると、1950年代になりますね。 1954年に録音された「田園」 を聴いてみたいと思います。
まず第1楽章の 主題の提示で、とんでもなくテンポが遅い です。そして、少しテンポアップした程度で進んでいき、ワルターの「田園」とは似ても似つかない独自の世界観になっています。静かで神々しい、と書こうかと思いましたが、 フォルテになるとベルリンフィルは圧倒的な量感で演奏 しています。もともと、このテンポだと、ベートーヴェンが云々ではなく、フルトヴェングラーの考え方の問題でしょうね。田園風景や田舎臭さなんて感じられません。でも、感動するし凄い名演です。自然は神々しいものだ、といえば確かにそうです。でも、もはや「パストラル」という次元ではなく、もっと清涼な場所、例えば神殿などを思い浮かべてしまいます。
第2楽章も同じです。一般的に第2楽章は典型的な絵画的音楽に聴こえますが、全くそれはなく、やはり神々しいです。ヨーロッパでは第一次世界大戦以降~第二次世界大戦、大戦がおわってしばらくの間、戦争の大きな被害があり、工業化による自然破壊も行われていました。それは同時代のオネゲルやヒンデミットを聴けばわかります。自然に対する貴重さ、神々しさに気づいた時代で、それを簡単に破壊してしまう人間社会を憂えたり、皮肉ったりしています。
第3楽章は農民の踊りですが、何か違う雰囲気です。神々しさがなくならないように、上手く処理しているようですね。次は問題の第4楽章です。単なる「嵐」ではなく案の定凄い演奏です。 いままで聴いた中で一番凄い嵐 です。ベルリオーズのようなグロテスクさがあります。でも、神々しさは一切失われていないのが、また凄いです。第5楽章は最初はまさに遅いテンポで神々しく始まり、舞曲の部分はテンポアップしています。でも、舞曲も農民の素朴な舞曲には感じないのがこの演奏の凄い所です。清涼で神々しいです。
まとめとして、 フルトヴェングラーの「田園」は、ベートーヴェンの自然観と関係なく、時代が生み出した名演なのではないか 、というのが筆者の意見です。まさに究極の自然賛美ですね。
カラヤン=ベルリン・フィル (1960年代) ダイナミックで重厚だが、爽快感のある『田園』指揮 ヘルベルト・フォン・カラヤン 演奏 ベルリン・フィルハーモニー
特に後半が聴きどころです。 第4楽章の嵐は圧巻で大迫力 です。ここまで躊躇(ちゅうちょ)なくダイナミックに演奏できるのは凄いですね。第3楽章のリズムも良いですし、第5楽章もすっきりまとまっています。
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演奏のDVD,Blu-Ray
ドゥダメル=シモンボリバル・オーケストラ指揮 グスターボ・ドゥダメル 演奏 シモンボリバル・オーケストラ
ベルリン古楽アカデミー2020年10月,ドイツ,シュヴェツィンゲン,シュロステアター (ステレオ/16/9 NTSC All Region/ライヴ)
ベルリン古楽アカデミーのCDは上で紹介しました。こちらは、SWRシュヴェツィンゲン音楽祭2020での映像です。曲目もCDと同じく『田園』とクネヒトの交響曲 ト長調「自然の音楽的描写、あるいは大交響曲が入っています。
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