. 6倍の定理(2): ガリレオ爺さんのブログ
6倍の定理(2): ガリレオ爺さんのブログ
6倍の定理(2): ガリレオ爺さんのブログ

ガリレオ爺さんのブログ

「6倍の仮説」の証明は前回示した(3)式(v2の式)によって示すことができます。 ただし、それには次のことを仮定します。つまり、バットやラケットの速度V1は選手が力一杯それらの打球道具にエネルギー(E)を与えた結果で、そのEの値は人によって変わるけれども、その人に関しては一定値とします。そのとき、V1の大きさは次のように変数Mによって表すことができます。 これを(3)式に代入して両辺をv1で除し、整理すると次のような式が得られます。整理の過程はここでは説明を省略します。 これはv1に対するv2の比率の絶対値を表しています。v1とv2は一般に正負の符号が違っているのでその大きさを絶対値で表すほうが分かりやすいからです。 また、 x=M/m で は(野球を例にとれば─以下同様)打者がバットに与えたエネルギーEと投手がボールに与えたエネルギーmv12/2の比を表しています。両者のエネルギー能力(パワー)が対等であればφ=1ということになります。 この(5)式をここでは「反発効率の式」と呼ぶことにします。

問題はボールとバットの質量の比xがどんな大きさのときに投げられたボールの速度に対する打球の速度の比が最大になるかということです。 (5)式からその答えを導き出すことができます。(5)式をxで微分し、それをゼロと置いてそれを満足する解xを求めるという微積分の常套手段です。 投手と打者がそれぞれボールとバットにエネルギーを与える能力が等しい(φ=1)としたとき、その答えは x=5.8 となりました。 これはMがmのほぼ6倍ということで、これによって6倍の仮説は正しいことが証明されたと言えます。 参考までに、投手の力(パワー)が打者を大きく上回り、φ=0.7であるとすれば、バットの重さはボールの7.6倍が最適と計算されます。その逆でφ=1.4とすれば、バットはより軽い、ボールの4.6倍が最適と計算されます。

数学的にきれいな解決を得たところで話をおしまいにしてもいいのですが、現実はもっと複雑です。(5)式をグラフに描いてみるとxの値のかなり広い範囲にわたって|v2/v1|の値(反発効率)があまり変わらないことが分かります。 このことは最適なバットやラケットの選択の範囲がかなり広いことを意味します。 上の結論はボールとバットの運動量とエネルギーの交換の条件だけを前提として導かれたものです。実際にはその他のいろいろな条件が絡んでいる筈です。 たとえば、腕力のない、φ=0.7くらいに相当する人は、ボールの重さの8倍近い道具を選ばなければならないとします。テニスで言えば約470グラムの重さのラケットということになります。こんな重さのラケットは男子のプロでも使う人はいません。まして、腕力のない女の子がこんなに重いラケットを持ってコートを走り回ったらたちまち腕が疲れて試合にならなくなります。それだけでなく、速さや回転や角度など、千変万化の状態で飛んで来るボールに対して素早く反応するためには、ラケットが重いほど不利になります。 反対にラケットやバットが軽すぎるとボールと衝突した後の減速が大きくなります。軽いほど運動エネルギーがボールに伝わりやすいからです。その影響は腕に対する衝撃となり、テニスエルボーのような症状の原因となります。 このように、運動量と運動エネルギーの交換以外のいろいろな条件を考慮に入れると、ラケットやバットの最適な重さの範囲はかなり狭くなるものと考えられます。そして、図中に破線で「適性度」として表した曲線のように、腕力や体力の強弱にあまり関係なく、最適の条件はx=6の付近に近寄って来るのではないでしょうか。 それを裏付ける例として、テニスのラケットの重さを上げることができます。これは男女の間での差が非常に少ないのが実際です。女性の筋力は弾性の60〜70%と言われますが、ラケットはその割合で軽いわけではなく、ほとんど同じかほんの少し軽いだけです。女性と言えどもφ=1に近い条件では最適なラケットの重さはボールの約6倍に決まってしまうのだと思います。

最新のトラックバック 正断層の余震について・続 at 2013-03-27 18:35 正断層の余震はなぜ起きたか(.. at 2013-03-08 11:45 アウターライズ地震と正断層 at 2013-02-11 13:41 地震とガス管──こぼれ話 at 2012-10-31 14:08 地震とガス管の話 at 2012-10-19 20:33
📎📎📎📎📎📎📎📎📎📎