5分で分かる「水和イオン」塩は水の中でどのように変化する?京大卒の研究者が分かりやすくわかりやすく解説!
この結晶を水中に、すなわち大量の水分子の中に入れてみましょう。水中では水分子は熱運動をしているため、結晶は水の中で多数の水分子と衝突します。この水分子との衝突によって固体の表面から結晶構造が壊れていき固体はどんどん縮小して、最終的に固体が完全に消失する。これが「ものが水に溶ける」という現象の正体です。ちなみに一般的に水の温度を高くするほど物質の溶解性は上がりますが、これは水の熱運動が激しくなって固体の結晶を壊しやすくなるためと考えることができます。
1-2.電解質の溶解と水和イオンimage by iStockphoto
水の熱運動によって固体の結晶構造が壊されること、これが「溶解」だということを学びました。では水によって壊された固体は水中でどんな状態になっているのでしょうか。実は固体の構造によって水中での状態は異なります。まずは塩化ナトリウム(NaCl)について考えてみましょう。
塩化ナトリウムはナトリウムイオン(陽イオン)と塩素イオン(陰イオン)が交互に並んだ「イオン結晶」と呼ばれる物質で、「電解質」とも呼ばれます。一方で水分子(H2O)は水素と酸素の電気陰性度の違いから、酸素に電子が偏っている「極性分子」です。従って、塩化ナトリウムは水中でバラバラになると電気的な相互作用によってナトリウムイオンは水分子の酸素に、塩素イオンは水分子の水素に囲まれます。このように溶質が水に囲まれる現象を「水和」と呼び、水和によって生まれるイオンが「水和イオン」です。
1-3.非電解質の溶解image by iStockphoto
次に砂糖の溶解について見ていきましょう。一般的に「砂糖」と呼ばれるのは「ショ糖」であり、「スクロース」と呼ばれる化合物が主な成分です。スクロースの化学構造を以下に示します。スクロースはヒドロキシル基(OH)を多数有しますが、塩化ナトリウムとは異なり、完全なイオンになっているわけではありません。そのため「電解質」と対比させてスクロースは「非電解質」と呼ばれます。
非電解質は水に溶解したときもイオンにはなりません。しかし、スクロースはヒドロキシル基を多数有しているため、極性分子です。そのためスクロースは同じ極性分子である水に囲まれることで電気的な相互作用が発生し、安定化されます。つまり「スクロースは水和するが水和イオンを形成しない」ということですね。