ドラえもんが青い理由を全4種(+α)紹介。最新は何なのか?
・最初は半公式設定から始まり、デファクトスタンダードに。 この漫画はF先生が描いておらず元アシスタント方倉陽二先生による半公式扱いの漫画でした。F先生が考えたわけではないという意味合いで「方倉設定」と呼ぶ事もあります。正確には「ネズミに耳をかじられた」まではF先生が1975年に既に描いており「ショックで青ざめた」が方倉先生の追加設定になります。このエピソードは1980/1/2放送「ドラえもん びっくり全百科」にてカラー映像でアニメ化されます。この番組はドラが来た経緯や誕生秘話を大公開といった趣旨で、原作第一話の初放送などもあり、F先生の原作話と方倉設定をひとまとめに扱っています。視聴者からすると全て作者の考えた設定のようにも見え、F先生が作ってないけど事実上の公式設定として視聴者に刷り込まれていくのでした。 ・この設定を採用した他エピソード 大山ドラでは1980年11月27日「ドラえもんのガールフレンド」というアニオリ回で「ネズミに耳をかじられ、耳のない姿をガールフレンドのネコ型ロボ、ミーちゃんに笑われ、鏡で自分の姿を見て青ざめる」という描写があります。わさドラでも2011年9月9日「走れドラえもん! 銀河グランプリ」で耳を失ったのはネズミがかじったから、青くなったのは耳を失った姿を鏡で見てショックで青ざめています。
理由2:ネズミロボに耳をかじられ、三日三晩泣いたらメッキが剥げた
1995年映画「2112年ドラえもん誕生」にて、ドラえもんの誕生関連が再設定されたものです。耳を失った理由は「工作用ネズミロボットにかじられたから」青くなった理由は「泣き続けて振動でメッキが剥がれたから」になりました。
引用元:1995年映画「2112年 ドラえもん誕生」 ドラえもんが青くなるまでという流れです。泣きの振動と走りの勢いで青くなりました。理由1はロボが青ざめ変色するという非現実的な理由でしたが、現実的な設定にしたい意向があったようです。↓
・F先生の最終公認設定だが、あまり守られてない この設定はF先生本人が「混乱しているドラ情報、本作が決定版です」「混乱している情報を整理する意味でこのアニメを作りました。もう二度と変えませんから信じてくださいね」 1 と発言しているため、F先生存命中に認めた最終設定という事に一応なっています。ただF先生が映画全体の脚本を書いてるわけではない事、ドラえもんズやスリムなノラミャーコ等などF先生の世界からはみ出した要素も多数含むせいか後年の製作陣もこの映画設定を全面採用している感じはなく、部分的採用だったり全く採用しなかったり色々です。
・この設定を採用した他エピソード 2007年9月7日放送「ドラえもんが生まれ変わる日」はこの設定にほぼ近いです。ネズミロボに耳をかじられて耳失い、泣きながら砂浜を走ってメッキが剥がれていく描写があります。
理由3:理由は無い(元々青い)
今までのは、「元々黄色だったのがなぜ青になったのか」という説明ですが、その質問自体成立しない状況が初期にはありました。一番最初の初期設定は、製造直後の耳付きドラえもんは元から青という設定でした。小学四年生1975年4月号「ドラとバケルともうひとつ」で、耳付き時代のドラと、ネズミにかじられ耳を失うコマがF先生自身の手で初めて描かれますが、それは青色でした 2 。 「なぜ青くなったのか」という質問自体が生まれず、「元々青い(だから理由は無い)」という答えになります。
引用元:小学五年生1976年1月号「ドラえもんの大ひみつ」・この設定を採用した他エピソード 小学五年生1976年1月号「ドラえもんの大ひみつ」では、3色カラーで掲載されハッキリと青い耳ドラが登場します。ネズミに耳をかじられた事、ガールフレンドに笑われた事などを回想シーン付きで話すのですが、耳付きの製造段階から青く、当然ながら色が変わるシーンはありません。1978年11月コロコロデラックスのドラえもん制作秘話をF先生が漫画化した「ドラえもん誕生」に登場する耳ドラも青いです。
理由4:学年誌の都合で他の色が空いてなかったから。
「色はどうしようか。あれは学習雑誌で低学年対象ですね。それで最初のページはカラー印刷から始まるケースが多い。扉ページは地色に黄色を使うことが多くて、タイトル文字は赤が多いんです。そうすると赤と黄を除いたら、あとは青。それでドラえもんが青くなっちゃった。」以上は、藤子・F・不二雄自身の言葉である。なんて簡潔で合理的な考え方だろう。ネコという外見にこだわらずに、読者に対するサービス精神、色彩的な効果の方を優先させた結果だったのだ。
小学館文庫「ド・ラ・カルト ドラえもん通の本」30~31ページ・これはこれで 残る 謎 F先生本人の発言なので間違いはないのでしょうが、これはこれで謎もあって、同じ状況下(学年誌連載)で描かれたF作品はいくつもあるのですが「オバケのQ太郎」は白、「ロケットけんちゃん」は黄色、「ウメ星デンカ」は赤、「バケルくん」は3色(赤青黄)、「ジャングル黒べえ」は黒、「パーマン」は青です。ドラ以外で青はパーマンだけで、黒や白はいいとして、赤、黄のキャラもいるのでそれらの時にこの理由が採用されなかったのは謎です。まあ結果的にうまくいった理由って事かもしれません。
理由1+2+3のハイブリッド化が主流になりつつある?
・わさドラのキャラソン 2005年発売キャラクターソング「ドラえもん・七不思議~其の一~」の歌詞は「ネズミに耳をかじられ」「ショックで泣いたら黄色の体もメッキが剥がれて青くなった」と説明されており、耳は「ネズミ」青い理由は「メッキ剥げ」です。わさドラ開始年にすでにこのパターンはあったんですね。
・わさドラ時代のポッドキャスト 2012年9月3日ポッドキャスト番組「ドラチャン★ドラヂオ」の中でドラ自身が説明します。耳は「ネズミにかじられたから」青色は「3日3晩泣き続けたんだ。そしたら泣きすぎてメッキがはがれて体の色が、体の色が青くなっちゃったんだー」です。
・徹子の部屋での発言 2014年8月8日放送「徹子の部屋」では「ネズミに耳をかじられちゃったんです。泣いて泣いて泣きすぎて(中略)メッキが剥がれて青くなっちゃったんです。」と説明してます。
・2015年「小学一年生」の漫画。「塗装」らしい 。小学一年生2015年12月号の漫画「ドラえもんたん生のひみつ」(ふじあか正人)でも、ネズミに耳をかじられます。そして耳を失った姿を見たドラは泣いて黄色が剥げていくのですが「ふるえて、きいろいとそうがはげて青くなっていく!!」との説明セリフが添えられます。細かいツッコミですが剥がれたのは「メッキ」ではなく「塗装」らしいです。定義上はメッキは金属被膜、塗装は樹脂など非金属被膜ですから微妙に亜種です。
ハイブリッドを採用する理屈を考えてみる。・耳を失った理由は原作優先で「理由3」・黄色が青になったという前提を作った「理由1」も受け入れた上で・変色理由はF先生の決定版発言を優先して「理由2」を採用。
はっきりしないあいまい描写のものも。
・わさドラ放送直後のOP 2005年4月15日わさドラリニューアル時の新OPアニメは、ドラが未来からのび太の元に来るまでをダイジェスト的に紹介する内容なのですが、「黄ドラがネズミに耳をかじられ、ノラミャーコに笑われショックで大泣き。涙が洪水のように画面一面を覆い、戻るとすでに青くなっていた。」という抽象描写があります。耳を失うのは本物のネズミなので理由1、青くなる描写自体は省略され理由不明という感じです。新ドラを始めるにあたって理由1、2どちらで行こうか迷っていたのかもしれません。
・わさドラで「地金が白」設定と、理由1風の曖昧表現 2012年4月27日放送「ドラえもんの100年タイムカプセル」では、ドラ自身のセリフで昔は黄色かった事と、「耳がなくなったショックで青くなっちゃったんだよ」が語られます。耳はネズミなのかすら分からないです。青の理由もショックとしか言ってませんが、この回の生まれたてドラは、地金が白色でそれに黄色いコーティングするという描写があるため少なくともメッキが剥がれたわけでは無いと考えられます。
耳ありドラえもんは黄だけじゃない!青や2色構成、2年間だけ存在した謎の色など。 nokikero.com結局、今は何が公式設定なのか?
という事で色々な理由に変わってきたのですが、結局今はどれが公式設定なのでしょうか。結論、藤子プロなどの公式側も一つに断言しないあいまいな状況が現在でも続いています。理由4はメタ設定なので抜きにするとしても、それぞれに一長一短があるので完全な上位互換ってのは無いんですよね。なのでファンの間でも「昔からあった設定だし、理由1がしっくりくる」「F先生が最終的に決定版だと宣言したのだから、理由2が正解」「F先生の描いた部分はそのまま尊重すべき。理由1(3)+2がF先生の意図を一番反映している」という感じで、それぞれが信じる解を持っているという感じで一定ではありません。
時々ある誤情報「涙で溶けて剥げた」について。
上記が青い理由のバリエーションですが、時に誤った情報が流れている事があります。それは「涙で塗装が溶けて剥げたから」という理由です。これらは誤情報です。
・「涙でメッキが剥げたから」どこから誤解が生まれたか この誤解の大元は「2112年 ドラえもん誕生」だと思います。確かにドラえもんが三日三晩大泣きしメッキが剥げて青くなるシーンがあり、これを誤解したのだと思います。しかし涙で(水溶性塗料のように)溶けて剥げたわけではありません。作中ハッキリと「振動でメッキが剥がれた」と言ってますし映像描写もありますので原因は「振動」です。
脚注
- てんとう虫コミックス・アニメ版 映画2112年 ドラえもん誕生(1995年)より。 ↩︎
- 正確には初登場シーン1975年4月号「ドラとバケルともうひとつ」は白黒ページなので青と断定できませんが、通常の青ドラと同じトーン表現で描かれており青と見なしてよいと思います。その後の小学五年生1976年1月号「ドラえもんの大ひみつ」では3色カラーページで耳ドラが描かれてここでは明確に青で描かれているので、F先生はこの頃は製造直後も青と考えていたと見て問題ないと思います。 ↩︎
- 正確には藤子・F・不二雄の描いた黄色い耳ドラえもんは一回だけあります。コロコロコミック1980年2月号表紙はF先生の描いた耳付きドラに黄色く着色された状態で掲載されています。ただコロコロ表紙絵用のドラえもんは、F先生がマジックペンで線だけ描いたものを入稿してそれを出版側で着色するという工程である事がわかっています。この号も確実にそうだったかは調べきれていませんがたぶん同じはずで、だとすると「F先生が黄色く塗った、黄色を指定した」とは言い難く、「線画だけ渡したら、出版側が黄色に塗った」という可能性が高く、真の意味でF先生が黄色いドラえもんを描いた事は無い。と思っています。 ↩︎