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27年が、この1枚に詰まっている」 | ビューティー、ファッション、エンタメ、占い…最新情報を毎日更新 | ananweb
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Без кейворда

ボーカル&ギターの佐藤良成さんとボーカル&ハーモニカの佐野遊穂さんは、大学生の頃に知り合い、1998 年にハンバート ハンバートを結成。当初は6人組のバンド編成であったが、大学卒業後に現在のデュオとなった。その後、音楽だけでなく“夫婦”という人生の良きパートナーに。公私ともに理解し合う二人だから生まれる、温かくも泣ける歌が多くの人の心を掴んでいる。

── NHK連続テレビ小説『ばけばけ』主題歌のオファーを受けた際、どう思われましたか?

佐藤 最初はビックリしたけど、詳細を聞いて“これは我々にピッタリだ”と思いました。『ばけばけ』のモデルである小泉八雲とその妻セツさんは、夫婦二人三脚で数々の物語を編んできた。その創作スタイルや境遇は私たちと似ていますし、物語の舞台である島根県松江市には、2006年から毎年のようにライブで足を運んでいて、我々にとって馴染み深い場所。あとは、八雲の怪談が前から大好きだったことも含めて“主題歌は私たちしかいない”と感じましたね。

佐野 「笑ったり転んだり」のデモ音源をお渡ししたら、プロデューサーの方から「あまりに良くて涙が出た」とお手紙をいただきました。

── SNSなどを見ていても「ストレスで本当に辛かったとき、この曲を聴いて号泣した」「この曲を聴いているときだけは、心が安らぎます」など、心の支えにされている方が多い印象があります。

佐野 みんなも大変なことや困難を背負って生きているんだな、と思いました。逆に、そういうことを意識しないで生活してる人も“みんなそうなんだ”って気づくと“自分も難儀に感じることはあったな”と思い出すんじゃないかなって。

佐藤 うんうん、そうだね。

佐野 明日を無事に迎えるため、あえて辛いこと・悲しいことを見ないようにしてる人もいると思います。一方、この曲を聴いたことで“自分だけじゃなくて、みんなも大変なんだ”と心が楽になった人が増えているように感じますね。

佐藤 そうやって、曲を聴いた人の間で広がっていくのはいいですよね。私たちが曲をポンと出す。そこから先は、聴いた人の中で自分の人生を振り返ったり考えたりしてもらう。それぞれが曲の感想を言葉にすることで、また別の人が反応して“一人じゃないんだ”と思える。そういう状況を見て、朝ドラの影響力のすごさを感じました。

ある曲の誕生以降、20年間ずっと順調です

── そんな「笑ったり転んだり」が収録されている、初の公式ベストアルバムを11月にリリース。膨大な楽曲の中から、どのように選曲されたのでしょうか?

佐藤 『ばけばけ』でハンバートハンバートを知った年配の方たちとか、今まで私たちの音楽を耳にする機会がなかった人たちにも届くベスト盤になるといいなと思って。そのためには、曲を作った我々が「これがいいんだよ」と自我を出すのではなく、客観的に私たちの入り口となる曲を選んでもらった方がいいと思ったので、スタッフにすべてお任せしました。

── お二人の中で、特に思い出深い楽曲はどれでしょうか?

佐野 私は2014年の「ぼくのお日さま」ですね。アルバム『むかしぼくはみじめだった』のレコーディングをアメリカでおこなったのが、とても印象深いです。

佐藤 家族みんなで行ったんですけど、まだ子供たちが小さくて。

佐野 2歳と4歳だったね。

佐藤 しかも、遊穂のお腹の中には末っ子がいて。(お腹が)かなり大きかったもんね。

佐野 ほかにも2001年に出した最初のアルバム『for hundreds of children』とか、それぞれに思い出があるね。

佐藤 そうだね。当時の私たちは大学生で、レコード会社に「こんな曲を作っています」と伝えるために作ったデモテープが、そのままCDになったんです。周りの友人に協力してもらいながら、初めて自分たちで録音して作った作品なので、これも思い出深いね。

佐野 「夜明け」のコーラスパートを、二人で市役所の外階段で考えたのを覚えてる。「ここで歌わないで」って、警備員さんか市役所の人に怒られたんだよ(笑)。

佐藤 そうだったか! ターニングポイントで言えば、「おなじ話」が大きいかな。アルバム『11のみじかい話』を出したのは2005年ですけど、曲を作ったのは2004年くらい。当時の我々は全然人気がなくて、ライブも二人ではできなかった。サポートメンバーが3~4人いたんですけど、ステージ上と客席で、どっちの人数が多いんだか分からなかったほど。

── 私は2016年に『FOLK』をリリースされたときに、驚いた記憶があります。なぜなら、佐藤さん自身が「フォーク」を名乗ることに抵抗を持っていましたよね。

佐藤 確かに、このアルバムを作ったことは本当に大きかったです。その前までは「あなたたちはこうだよね」と周りに言われることが嫌だったんですよね。どんなネーミングであろうと、自分の作ったものをラベリングされることに抵抗があったんだけど、でも名前がつかないと人には伝わりにくい。

── 一発で伝わるネーミングがあると、理解されやすいですよね。

佐藤 でも、そこが割り切れないからこそ、長いことイマイチ煮え切らなかったんです。実は、このアルバム名を考えたのは我々じゃなくて、当時のマネージャーが「これは『FOLK』というタイトルにするべきだ」みたいに言ってくれまして。自ら『FOLK』を名乗る発想が自分にはなかったんですけど、マネージャーに言われたことで、確かに一言で説明できる名称は大事だよな、と。そういうキャッチーな名前をつけた方が、人に伝わりやすいんですよね。

── マネージャーさんの提案が背中を押したんですね。

佐藤 もう一つありまして。その年に細野晴臣さんから年賀状をいただいて、そこに「今年もフォークソングに励もう」と書いてあったんです。それを見て「確かにフォークっていいよな。よし、俺たちもフォークソングに励もう」と思ったんです。その後、ちょうど『FOLK』を出すタイミングで、細野さんと対談をする機会があって。「なんで、このタイトルにしたの?」と聞かれたので「細野さんの年賀状がきっかけなんですよ」と伝えました。そしたら「アレは僕が高校生の頃に書いた年賀状をたまたま見つけて、今年と同じ干支で面白いと思ったから、カラーコピーしてみんなに送ったんだ」と言われたんです。

── お二人への提言じゃなかった。

佐藤 細野さんが約50年前に書いた文章から「俺たちはフォークを名乗ろう!」というメッセージを勝手に受け取りました(笑)。

佐野 それこそ、良成は人から「○○ですよね」と言われると「そうじゃないんだ!」と反発していたのが、『FOLK』を作ったあたりから「どう感じてもらってもいいです」と受け入れるようになったと思う。

佐藤 年をとってくると、いろんなことを突っぱねていくのが馬鹿馬鹿しくなってきて。15年くらい前までは「夫婦デュオ」と記事に書かれるだけでも、いちいち消したくなっていたんですけど、今は“そんなこと別にいいや”って。

佐野 気にしなくなったよね。

佐藤 うん。きっと、自分で自分のことが分からなかったから「こうじゃない、ああじゃない」と言っていたんだと思う。

佐野 それまでは人からどう見られるかとか、どういうふうにしたらカッコいい・悪いかにこだわっていたけど、年齢を重ねるにつれて変わったよね。

── 佐野さんに対して変化を感じるところはありますか?

佐藤 人としては、あまり変わらないですね。ずっとこの感じで、焦ったり落ち込んだりもしない。

佐野 昔は今よりも、ゆっくり喋ったり動いたりしてたよ。

佐藤 ハハハ、そうだね。長年生活を共にしてる間に、せっかちな私につられて少しスピードアップしたのかもね。

── ちなみに、お二人は3人のお子さんを育てる親でもありますが、仕事と生活の切り替えはどうされていますか?

佐藤 私はそこまで意識してないです。逆に、遊穂は生活の中でやらないといけないことが多いよね。

佐野 家の雑事がね(笑)。地方に行ったら「洗濯物を取り込んでね」と子供に電話をして。

佐藤 そうそう。子供や家のことを含めて、我が家の担当大臣が遊穂で、私は音楽の担当大臣です。

── そうしてデュオとして、夫婦としてお互いに支え合いながら、歩んできたんですね。

佐藤 私たちは「こういう音楽をやろう」「こんなテーマで、こういうプロジェクトにしよう」と始めたわけじゃなくて。分からないなりにハンバート ハンバートを始めてみて、気づけば二人になって。家族になってからも変わらず、そのときの作りたい音楽を形にしてきました。ビジョンがないまま、“笑ったり転んだり”しながら27年歩いてきた道のりが、このアルバムにも詰まっていますね。

ハンバート ハンバート 公式ベストアルバム『ハンバート入門』 【街のプロが案内する北海道・旭川】ほっこり&にっこり。もふもふの動物と手作業の温もり

写真・内山めぐみ インタビュー、文・真貝 聡

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