VORTEX SPITFIRE AR Prism Scope 1x(2016年版) レビュー
当初、私は「等倍のスコープ」があると聞いていまいちピンとこなかった。いや、そもそも意味がわからない。等倍ならば、ダットサイトでいいし、なんでわざわざアイリリーフが発生してしまうスコープにしてしまうのか意味がわからない。きっとそう思っている方も多いだろう。しかし、等倍のスコープというものは特にハンティングの業界で一定の支持があるらしい。あのスコープメーカー大手のリューポルド社も等倍のスコープを出している。(Leupold Prismatic Tactical 1×14mm。2016年現在は生産をやめている。)
まずメーカーであるボルテックス社だが、比較的新しくできた光学照準器のメーカーながら、コストパフォーマンスに大変優れた製品を作ってくれるメーカーとして人気がある。値段も実銃用ながら、安いとこだと100ドルを下回るような製品から、1000ドルを越える製品まで幅広いニーズに答えてくれる製品を出している。ボルテックス社は、プリズム機構を使用したコンパクトな等倍スコープを2種類ラインナップに入れており、一つはマウントをLowとHighに切り替えることができ、ハンティングからタクティカルへと幅広いニーズに使用できる「Spitfire Prism Scope 1×」と、今回のアサルトライフルでの使用を想定した「SPITFIRE AR」である。どちらも、日本円換算で安いとこだと2万円台で変えたりするので、お財布には優しい。
まずは後ろから。接眼レンズ部には、一応スコープなので視度調整のノブが付属している。レンズの下には、イルミネーションのボタンがある。イルミネーションONは上下どちらかのボタンを押し、OFFは両押し3秒となっている。また、イルミネーションの色(赤・緑)の切替は、ボタン両押しですぐ離せばいい。イルミネーションは赤・緑それぞれ11段階で、そのうち2段階は暗視装置用となっている。が、その割にはちと明るいので、肉眼での夜間照準用と考えた方がいいかもしれない。イルミネーションは、電池切れを防ぐため、8段階以上の明るさだと、何も操作しなければ2時間で6段階まで自動的に下がり、12時間以上で消灯する設計となっている。イルミネーションは、「Spitfire Prism Scope 1×」が五段階なので、こちらの方が幅がある。
「Spitfire Prism Scope 1×」は、ダットサイトによくある電池ケースとイルミネーションダイヤルの組み合わせだったが、AR版はイルミネーションの調節はご覧のとおりボタンが独立して後方にある。残念ながらこれは操作がしにくい。後ろにバックアップ用のリアサイトを載せると、よりやりにくくなるし、特に電源を切る際のボタン両押し3秒が両手が塞がる点もマイナスだ。
この機種は、「Spitfire Prism Scope 1×」だとマウントの高さがLoマウントとHighマウントをスペーサーを介して変えられるのが魅力的であったが、このAR版は、電池が単4に変わり、その電池ケースをマウント部に付けてしまったが故に、Lower 1/3 co-witnessの高さ(レティクルの中央までの高さ40.4mm)で固定となっている。パッケージには、マウントの高さが自由に変えられると書いているが、これは旧バージョンのことである。ご覧のとおり、少し違和感はあるものの、MBUS等のバックアップサイトの高さには対応しており、M4等のライフルとの相性はいいだろう。ただ、ハンティング用の散弾銃やライフルに求められやすい、Lowマウントにはできなくなったのは少し痛い。まぁ、AR(アサルトライフル)用ということで、マウントの件はまぁわかるが、イルミネーションボタンの配置は改悪であると思う。
覗いてみた感じはこんな具合だ。ハロウィンに浮かれてる輩を狙ってみた。完全ではないがほぼ等倍で、 Trijicon MRO のようにプチ望遠はほとんど感じられない。レティクルはDRT(Dual Ring Tactical)レティクルで、中心点は3MOAと小さいので精密射撃も可能だ。
通常であれば、1クリックで0.5MOAレティクルを動かすことができる設定だが、この照準器には面白いオマケが付いている。エレベーションノブをレンチで取り外し、この5.56mm弾用のノブに付け替えれば、簡易的なBDC(Bullet Drop Compensators)機能を付け加えることができる。BDC機能とは、簡単に言えば、その距離と弾薬に合わせた弾の落下や軌道を示してくれるもので、100~700ヤード(91.4~640メートル)までの距離に対応している。使用弾薬は、M4等のAR15系のライフルで使用する、5.56×45mm弾の60もしくは62グレインの装薬での使用を想定している。
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