ステムベアリング交換 記
エンジン下にジャッキ、フロントを軽く浮かせてやる。 ライトはライトステーと、ライトカバー裏側のボルトを外してぶらぶらにしてしまう。 トップブリッジ裏側のナットを外して、ハンドルクランプから上をごっそりフリーに。 ステムナット外して、ハンドル周りはまとめて天井から吊っておく。 ブレーキキャリパ外してホイール外してフェンダー外して。 クランプ緩めてフォーク引っこ抜いて・・・ あ~、面倒臭ぇ~!!! (←自業自得)
前回同様、「マイナスドライバーコンコン攻撃」でWリングを外すと、三又が下へと抜けてくる。 やれやれ、やっとここまでバラせたか。 落とさないよう要注意
ベアリングの状況は特に変わりなし。 一見劣化している様子はみられない。とはいえ、 18年の歳月と7万km以上の走行距離 の影響は大きいはずだ。
さあ、今回は ここから先が本番 だ・・・
フレーム側とレース間には、 僅かだが段差 がある。 これなら単純に打ち抜ける…かな?
下から工事用の長いボルトを差込み、段差に引っ掛け、叩く。 最初は空振りすることが多かったが、コツが飲み込めると「当て」られるようになった。 ゴキっという感触と共にレースが僅かずつ浮き上がり、やがて「パキン」という音と共に打ち抜けた。 うん、大分慣れてきたんじゃないか?俺。
ダストシールを外したので、タガネを当てられる部分が増えた。 ここを更にがんがん叩く。 少しずつ動いているような…と思っていたら、唐突にパキンと抜けてくれた。 「よぉし!外れた!」
さて、これで「外し」側として残ったのは、「下側レース」のみ。 「でもなぁ、誰に聞いても これが一番の難関 なんだよなぁ・・・」
まずは観察。 しげしげと眺めたのだが、上側と異なり段差は まったくと言っていいほど無い。 あるのは 僅かな隙間 、というかレースの面取り部分のみである。
センスのない断面図 青:フレーム(ステム) 赤:ベアリングレース
■ドリルで穴を開け、切断する。 ドリルの歯がまったく立たない。さすがはベアリングレース! (←褒めてどうする)
そして思いつく「そうだ、 ベアリングプーラー ならとりあえずは固定はできたじゃん!」
固定できた爪を、上から 工事用ボルトでがんがんと 叩いてみる。
僅かな隙間に引っかかっているだけなので、少しでも曲がって打つとプーラーが外れてしまう。 落ちたら拾って再セット。それを直すこと数回。 やがて「ゴキン」という感触が手に伝わって・・・ 「を、隙間大きくなってるじゃん!」
さぁて、外すものはこれで全部外れたし、さぁ、組むぞぉ!… のその前に。 「フォークオイルも交換しておこうっと。」
今回使用したフォークオイルは、初めて使う YAMAHA純正10G これまで使っていたKAYABAの10G(&15G)とどう違うかの楽しみである。
まずは 下側のベアリング から取り掛かる。
ホームセンターで買ってきた、 内径φ30の塩ビパイプ 。 30mmをうたってはいるが実際は若干広い。これがφ30のステムシャフトにどんぴしゃりだったのだ。
ベアリングの上からパイプをあてがって上からがんがんと打ち込んでいく。ところが・・・ 「か、固い」 途中までは問題なく打ち込めたのだが、最後の1cmがどうしても入らないのだ。 「やっぱあれかなぁ、暖めておくんだったかなぁ」
入れる方は冷やし、入れられるほうは暖めるのが基本。 今回のようにシャフトの外側にセットする場合、 ベアリングをあらかじめしっかり暖めておくべき だったのだが、サボって常温のままだったのだ。 ※もちろんシャフト側を冷やしても同じ事だが…三又がそっくり入る冷凍庫を持っている人は少ないよねぇ ままよとがんがん叩いていたら、塩ビパイプの 上が欠けて しまった。 「む、仕方ない。 いつもの方法 でいくか」
ベアリングの内側、軸に接しているほうを、先のつぶれたポンチを使って叩く。 誤って 外側を叩いてしまうと外すとき同様ベアリングが破壊される ので要注意だ。
それではとグリスを塗り込んでいく。 動き&錆防止の意味もあるグリス。 ステムの場合には 量を遠慮する必要はまったくない。 外側はもちろん、指の腹を使ってベアリングのコマの間にもぐいぐい押し込んでやる。 中も外もグリスでべったり になったら完成だ。
さて、次は インナーレース下側。 ドリルやらバールやらで付いてしまった傷は綺麗にさらってCRC556で洗浄済み。 ここへ薄くグリスを塗る。これは主として錆防止用だ。
冷凍庫から取り出してきた (こちらは冷やしておいた) 新しいレースをセットし、上に古いレースを当て板に…というのが難しい。何しろ 下から上に 叩かなければいけないのだ。 「ええい、直接叩いてしまえ」 (レースがいかに丈夫かってのが判ったのでちょい強気) ハンマーでコンコンと打ち込んでいく。
面一まで打ち込んだら、そこから先は先ほど同様「潰れたポンチ」を使って打ち込む。 音が「コンコン」から「キンキン」になったら打ち込めた証拠、というのはホイールベアリングと一緒だ。 ※比較的簡単に打ち込めた。やっぱ温度差の影響は大きいかも。 傷に見えるのはグリスですのでご安心を
上のレース は更に簡単。 単純に打ち込む だけ。 深さも面一までなので問題なし。これでセットは完了。 「やれやれ、やっと組み立てに入れるぞ…」
深呼吸の後、グリスでべとべとの 三又をそーっと挿入 し、上側にはこれまた グリスだらけにしたベアリング を置く。 カバーを被せてWリングで仮固定。
オイルを交換したフォーク付けて、フェンダー付けて、ホイール付けて、ブレーキキャリパ付けて。 トップブリッジからハンドル周り付けて、ライト付けて、ステアリングダンパー付けて・・・ あ~もう面倒ったらっ! (←自業自得)
さぁて、ここで肝心の ステムの締め付け 具合。
前に書いたとおり、 「5kgで締めて、一旦緩めて0.3kgで締めなおす」 のがマニュアル指定の方法。そしてもちろんステム用のトルクレンチなんか無いので手ルクレンチに頼るしかない。
「ま、どちらにしても 試乗してからもう一度やり直し だな…」と思いながら締めこんでいく。
V-Maxエンジン始動。 走り出してすぐ気づく。 「車体が軽い」
ただ、ちょいペースが上がっていくと、その 軽さが仇 になってくる。 とのかくフロントが軽い。軽いというか落ち着きがない。落ち着きがないというか単に暴れているような… 「ダメじゃん、これ」
フロントを持ち上げた状態で締めこんだステムナット。 三又に車重がかかっていない状態 では、きちんと締め込めるはずはないではないか。
「タイヤの重さだけで自然にハンドルが左右に切られる」状態をキープ した上で 「ステムを一番締めこんだ」状態 を探し出す。
先のふらふらした感じは見事に消えていた。ふうん、やっぱ ステムのトルク管理って大切 なんだねぇ…
新しいオイルを入れたフォークのせいか、乗り心地も良くなっている感じがする。 ただ、肝心の ハンドルのブレ はといえば… 「あんまり変わっていないような?」
荒れた路面で 急激なエンブレ をかけると始まるフレは以前同様。 綺麗な道でも、手放しして ハンドルをコンと叩く とフレが始まる。 ※ステアリングダンパーは最弱にしてある。
軽く100kmほど走り帰宅。 違和感や異音はゼロ。ガレージへ戻りフロントを上げて確認したが、引っかかり感や渋さも皆無。 どうやら 交換作業自体はしっかりできた ようで一安心だ。
初めてのステムベアリング交換は、トータルの作業期間で2週間。実作業時間で15hくらいだろうか? 以前別の事でも書いたけれど「自分のバイクだからやるけれど、 人のバイクだったら1万円もらってもお断り! 」というのが正直な感想だ(笑)
次は何をやってみようか? フロントタイヤを純正(G525)に戻して様子をみてみようか? スイングアームピボットのベアリングあたりもフレに影響あるのかな?
■ もったいないオバケが出そうです
>せっかくの機会なのでもう少しあがいてみたい・・・ ・・・というわけで、まずは 純正タイヤへ交換 して様子をみることにする。
今履いているフロントタイヤ、BT45Vは まだまだ5分山。 何しろ僅か6000kmしか走っていないのだ。 「くそー、交換するのもったいないなー」
尤も、5分山ではあるのだが、 ちょい変磨耗気味 なのも事実。 時計で言う1-2時、10-11時付近が妙に削れ、断面が三角形な様相を挺している。
これはまぁ、このタイヤを履くようになってからずっと出ている現象だ。 原因は俺の乗り方なのか、それともSACT構造の影響なのか。 まぁ俺は、「これはこういうもの」と考えているのだが。
いつもならタイヤ交換にはホイールを外してショップへ持ちこむ俺。だが今日はちょい状況が異なる。 ヤボ用もあるし、遠いし(謎)、四輪だと渋滞しそうだし、行き帰りにテストもしたいし・・・と、 車両ごと持ち込む 事にしたのだ。
ステムベアリング交換直後、「結果的にハンドルのブレはさほど変わらず」と書いた。 それ以後、何も換えてはいないのに、妙に ハンドルが落ち着いている 気がしたのだ。
もちろん、急激なエンブレをかけるとブルブル言い出すし、巡航時にハンドルを叩くと暴れだすのは変わりないのだが、それでもそれら全てが 緩慢な感じに変った ように思える。 「タイヤは古いままなのになあ・・・ センタースタンドかけて放っておいたらベアリングが落ち着いた 、なんて事はあるんだろうか?」
交換するフロントタイヤは、もちろん純正の 「BS EXEDRA G525」 だ。 ※これはOEMじゃなく純正・・・だよね?(←誰に聞いているんだか) 念入りにバランスをとってもらうようお願いし、MAXを預ける。
お約束の 「フロント新品フロント新品…」の呪文 を唱えながらショップを出る。 #この呪文を忘れると最初の交差点で天罰が下る。
1.5IS(IppanSeigen:意訳)あたりの加速状態からスロットルを離してエンブレ。 同時に両手をハンドルから浮かせて… 「ああっ、フレないっ!」
今まではブルブル震えが始まっていたハンドル、それが ぴたりと安定したまま だったのだ。
もう少し上の速度域から試しても同じ結果。 試しに、1.0ISあたりでバーエンドをぽんと叩いてみたら、一瞬カクっとフレたハンドルが、ふっと 真っ直ぐに収束 してしまった。 「おわー、直ってるじゃん!」
ちょい荒れた路面、ワダチのある路面でも状況変らず。 最後にと思い切って、ステップに立ち上がって前輪へ体重をかけ、更に手を浮かせてみる。 以前コレやったらブレブレの大騒ぎになったのだが、今日はまったく静かなもの。 うは、完璧じゃん、これ。
結局のところ、原因としては 複数の要素があった のだと思う。
タイヤの影響は確かに大きいが、これまでは新品タイヤでも(BT45はもちろん、純正タイヤでも)現象が出ていたのでそれが全てではない。 ステムベアリングの交換により、状況は間違いなく改善された。 フォークオイル交換や、フロント周りの調整(センター出し)も影響しているだろう。
また、今回のタイヤ交換時に 「ホイールのバランスが相応にズレていた」 と指摘されたのも気になるところ。 これまでも毎回きちんと測ってもらっている(はず)だし、事故・転倒は起こしていない。バランサ(ウエイト)の脱落が無いのも確認済み。
実は、今回タイヤ交換に行ったのは初めてお願いするショップだった。 作業者の腕の差がホイールバランスに影響するなどということはあるのだろうか? タイヤチェンジャーを使い、それなりのプロが作業する以上、「大外れ」はないと思っているのだが。
いろは坂の下りのような「急坂&路面大荒れ」の場所でも安心して走れるだろうし、合流時の後方確認も遠慮なく片手を離してできるだろう( ←今までこれが怖かったのよ) もちろん、長距離走行での疲れもかなり減るに違いない。
「直って良かった良かった。それにしても何事につけ 基本にかえるってのは重要 なことなんですなぁ・・・」