. The Life of a Showgirl』徹底解説 | Rolling Stone Japan(ローリングストーン ジャパン)
The Life of a Showgirl』徹底解説 | Rolling Stone Japan(ローリングストーン ジャパン)
The Life of a Showgirl』徹底解説 | Rolling Stone Japan(ローリングストーン ジャパン)

テイラー・スウィフト、前人未到のさらに先へ──『The Life of a Showgirl』徹底解説

きらびやかな輝きに包まれたグリッタージェル・ペンのような楽曲群だからといって、彼女が得意とする緻密なストーリーテリングをおろそかにしているわけではない。敵を「おもちゃのチワワ」に例えてみせたり、自分を「悪い知らせ」と呼ぶアンチたちに感謝を捧げたり──ユーモアの冴えは健在だ。さらには、まるで股間を誇示する音楽業界の帝王のごとく、〈溺れていることに気づく前に、魚と一緒に眠ることになるわよ〉と不気味な脅しを吐き出す大胆さも見せる。自虐的なダサさの演出でも彼女は己を上回り、「This Is Why We Can’t Have Nice Things」を刷新した「Wi$h Li$t」では、デザイナーズ・ブランド名がこれでもかと散りばめられ、さらには「Balenci」と省略された呼び名まで飛び出す。

だが、テイラーは歩みを進めるごとに喪失と絶望を脱ぎ捨てていく。『The Life of a Showgirl』は、彼女に投げつけられたレンガすべてで築かれた城だ。彼女は運命を変えてほしいと膝を折って願った。そして、ここで歌われる愛がその願いを実現したのだ。人生の仕事を失った彼女は、いまや帝国を手にしている。失うすべてが次の一歩になる──それは「Opalite」のブリッジで恋人にも説く教訓だ。〈失敗は自由をもたらす〉と彼女は歌う。

『The Life of a Showgirl』のカーテンコールでは、やがて王冠を手放すことで得られる自由の誘惑さえ描かれる。ラストを飾るタイトル曲には、なんとテイラーのアンダースタディ(代役)であるサブリナ・カーペンターが大々的にフィーチャーされているのだ。26歳のシンガーはフルのヴァースを歌い、さらに加速するショーチューン風のブリッジでは憧れの人とハーモニーを重ねる。それはまるで、テイラーが次世代のショーガールにバトンを渡しながら深々と一礼しているかのように響く。果たしてこれが最後の一礼なのだろうか?──いや、違う。このショーガールは歩みを止めたりしない。彼女はいまや不死身だ。〈また次に会いましょう〉と観客の歓声を受けながらテイラーは約束する。結局のところ、指には大きな指輪をはめていても、彼女が真に結婚しているのは“ハッスル”だ。そして、このアルバムの完成度を思えば、彼女はきっとまた自分自身を超えようとするだろう。それこそがショービジネスというものだ。

テイラー・スウィフト『The Life of a Showgirl』2025年10月3日(金)デジタル配信2025年10月4日(土)輸入盤発売再生・購入:https://umj.lnk.to/TS_TLOAS

Translated by Rolling Stone Japan

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